フィギュアに付き物の「ジャンプの転倒」 冒頭で起きたら選手は“計算”に必死
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や恩師の知られざるストーリーや意外と知らない競技の知識など、五輪に新たな“見方”を届ける特集「オリンピックのミカタ」を展開。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアスケートを好きな人はもっと好きに、知らない人は初めて好きになる17日間」をテーマに連日記事を配信し、競技の“今”を伝え、“これから”を考える。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#50 中野友加里が答える「17のギモン」8問目
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や恩師の知られざるストーリーや意外と知らない競技の知識など、五輪に新たな“見方”を届ける特集「オリンピックのミカタ」を展開。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアスケートを好きな人はもっと好きに、知らない人は初めて好きになる17日間」をテーマに連日記事を配信し、競技の“今”を伝え、“これから”を考える。
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元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。8問目は「ジャンプの転倒、選手は焦らないの?」。
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フィギュアスケートに付き物の転倒。勝負の上では、肉体的にも精神的にも痛みを伴う場合も。特に演技冒頭のジャンプで起きれば、なおさら。しかし、その瞬間から、選手の頭はフル回転になると中野さんは語る。
「もし最初のジャンプでコンビネーションを予定していた場合、点数を取り返すためにコンビネーションジャンプをどこに持ってくるか、計算を始めます。進んでいく曲にもう一度、振り付けを合わせると同時に頭の中は計算式でいっぱい。どこでリカバリーしていくか、頭を悩ませます。ここでうまく失敗を忘れ、気持ちの切り替えができればいいですが、私は引きずってしまうタイプでした。
『これだけ点数が取れるはずだったのに何点減点になるんだろう』と神経質になってしまい、頭はパニックに……。でも、ショートプログラム(SP)とフリーの2本をミスなく揃えることはトップ選手でも難しい。だからこそ、気持ちがうまく切り替えられる人はその後のミスが少なく、上位に食らいついていける。その切り替えこそが、大きな大会で勝つためにも必要なことかもしれません」
選手はあらゆる想定をして練習している。気をつけなければいけないのが「ノーカウント」だ。
「ショートプログラム(SP)ではジャンプ数が少ないので構成変更は限られますが、規定要素を満たしていないとノーカウントになります。また、フリーでは冒頭に難しいジャンプを持ってくる選手が多いので、万が一の事を想定しなければなりません。
A、B、もしかしたらCパターンくらいまで演技構成を用意し、いつどこで取り返すかを常日頃、体に染み込ませないといけない。
例えば、同じ要素を演技内で2回挑み、コンビネーションにならなかった場合、2回目のジャンプが+REP(リピート扱い)となり基礎点の70%しかもらえません。焦ってしまうと、こうしたミスが出てしまいます。私も『無駄な減点をされないように』と口酸っぱく指導されていました」