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貧血、体重、生理、「女性アスリートの身体の問題」が解決しない理由 有森裕子の考え

2019年に、一般社団法人 大学スポーツ協会(UNIVAS)の副会長に就任。体育会に所属する大学生と、直接の対話を定期的に行っている、元プロマラソンランナーの有森裕子さん。

1996年、アトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した現役時代の有森裕子さん【写真:Getty Images】
1996年、アトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した現役時代の有森裕子さん【写真:Getty Images】

有森裕子インタビュー後編「本当に必要なのは『コミュニケーション』」

 2019年に、一般社団法人 大学スポーツ協会(UNIVAS)の副会長に就任。体育会に所属する大学生と、直接の対話を定期的に行っている、元プロマラソンランナーの有森裕子さん。

 前編の冒頭で触れた通り、有森さんが大学生時代の頃と今とを比べても、女性アスリートの身体問題はそれほど変わっていない印象がある、と話す。

「指導者が勉強するのも大切、選手が自分の身体を知ることも大切。でも、状況を改善するために本当に必要なのは『コミュニケーション』だと思います。そのためには選手自身、自分の言葉で、身体の状態を周囲に伝えられるようにならなければいけません」

 実は有森さん自身、選手時代、言葉で伝える大切さに気付かされた。きっかけは、通っていた鍼灸の医師の言葉。「痛いから何とかして!」と身体を投げ出す有森さんに対し、鍼灸師は「ケガを治すのは僕ではない」とピシャリとたしなめた。

「『僕ができるのは、治したいと思うあなたに手を貸すことだけ。ケガを治すのはあなた自身なんだから、自分の身体の状況ぐらい自分で言葉にできるようにしなさい』と言われました。

 よくわからないけれど、『痛いから何とかして!』という選手は、結構いるんです。でも、まずはなぜ、どうして、身体がこうなったのかを自分で考えてほしい。そうしないと、全部何かのせい、という未熟な発想をする選手になってしまいます。

 物事に他責だけで起こることなんてほぼありません。絶対に自分がコミットしている。ですから自分のことをしっかり考え、見ておくことが大事です。

 自分に向き合う時間というのはキツイものです。すぐに解決できないこともあります。でもこれをやらないと、いつまでも外に要因を探し、責任をぶつけ、時間が経っていくだけです」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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