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世界一になった“闘う医学生”の涙 「まさに死ぬ気で…」低い自己肯定感、自分を変えた薬理学の講義――柔道・朝比奈沙羅

28歳の朝比奈の今の目標は「自信を持って『競技を辞めよう』と言える日まで、全力で取り組む」ことだ【写真:荒川祐史】
28歳の朝比奈の今の目標は「自信を持って『競技を辞めよう』と言える日まで、全力で取り組む」ことだ【写真:荒川祐史】

小さい頃の自分に胸を張って言える日まで「全力で柔道に取り組む」

 現在28歳。女子柔道選手としてはベテランの域に入ったが、これまで柔道を辞めるタイミングがなかったと振り返る。

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「小学校卒業後は中高一貫校で柔道を続けていましたし、東海大入学のタイミングではリオオリンピックの、獨協医科大入学時は東京オリンピックの選考会が目前に迫っていました。ですから、この1年半は競技を辞める“良いタイミング”かもしれないと思うこともありました。

 でも、自分は小さい頃から『柔道を辞めるならば、強いうちに辞めたい』と思っていた。果たしてこの1年半、小さい頃の自分に胸を張ってその決断を言えるかなと考えた時、言えないなと思ったんです。引き際は自分にしか決められません。ですから、自信を持って『競技を辞めよう』と言える日まで、全力で取り組むのが今の目標です」

 7歳で柔道を始めた頃、「自分はこの競技で世界一になる」という謎の自信だけがあったという。小さな体の内いっぱいに炎を燃やした沙羅少女の想いが今、28歳の朝比奈の背中を押す。

■朝比奈 沙羅 / Sarah Asahina

 1996年10月22日生まれ、東京都出身。小学2年生で柔道を始める。渋谷教育学園渋谷中2年時に全国中学校柔道大会の70キロ超級で優勝。数々の全国大会、国際大会で結果を残し、高校3年の2014年には世界ジュニア柔道選手権(78キロ超級)で金メダルに輝いた。東海大体育学部に進学後、全日本選手権、世界柔道選手権(17年無差別、18年・21年78キロ超級)やグランドスラム(78キロ超級)などで金メダルを獲得。23年の全日本選手権、グランドスラムバクー以降、試合から遠ざかっていたが25年3月、約1年半ぶりに試合に復帰した。学業では東海大卒業の翌年となる20年4月、獨協医科大に進学。医師を目指している。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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