[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

女子競輪選手の8割が陥る“股ずれ” 「恥ずかしいから」相談できない深刻な現実

2012年、48年ぶりに「ガールズケイリン」として復活した女子競輪。トップ選手である小林優香、太田りゆは昨年、アジア選手権やW杯でメダルを獲得。2020年東京五輪出場、そして表彰台の期待も高まる。一方、シーズン7年目を迎え、女子プロスポーツならではの課題も見えてきた。女子アスリートの体について考える「THE ANSWER」の連載「私とカラダ」。元プロロードサイクリストが指摘する、“体”と“選手生命”に関わる問題とは。

女子選手の“股ずれ”の問題は深刻だと、沖美穂氏は語った【写真:Getty Images】
女子選手の“股ずれ”の問題は深刻だと、沖美穂氏は語った【写真:Getty Images】

重症化なら切開手術も…元プロロードサイクリスト沖美穂氏が警鐘を鳴らす“職業病”

 2012年、48年ぶりに「ガールズケイリン」として復活した女子競輪。トップ選手である小林優香、太田りゆは昨年、アジア選手権やW杯でメダルを獲得。2020年東京五輪出場、そして表彰台の期待も高まる。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

 一方、シーズン7年目を迎え、女子プロスポーツならではの課題も見えてきた。女子アスリートの体について考える「THE ANSWER」の連載「私とカラダ」。元プロロードサイクリストが指摘する、“体”と“選手生命”に関わる問題とは。

 ◇ ◇ ◇

「女子選手の“股ずれ”の問題は深刻。放置すれば、競技力向上だけでなく進退にも悪影響を及ぼします」

 こう話すのは元プロロードサイクリストの沖美穂氏。「股ずれ」とは、大腿部、鼠径部、会陰部などに生じる皮膚や粘膜の異常・障害のこと。長時間のライディングによるレーサーパンツやサドルとの摩擦などにより、痛み、腫れ、切り傷、膿み、出血を発症。重症化すると切開手術に至る場合もあり、「職業病といえるレベル」と話す。

「“皮膚トラブル”と聞くと軽症に思われがちですが、股ずれは非常に深刻な問題です。腫れ・痛みは集中力に悪影響を及ぼし、組織の変形や炎症による精神的なダメージも大きい。重症化、あるいは症状を繰り返すことで、競技を中断、もしくは引退を余儀なくされる状況にもなります」

 股ずれに着目した発端は、自身の現役時代の経験に遡る。

「私自身、股ずれに悩んでいました。ところが病院で診察を受けた際、男性医師から『こんな状態は見たことない』と驚かれて、ショックだった」

 現役引退後、13年から初の女性教官として日本競輪学校に着任。そこで、自身の現役時代と変わらず、多くの女性選手が同じ問題で悩んでいると知った。

「ガールズケイリンはほぼ1年中、開催されるため選手たちは休むことができない。多くの選手が、股ずれを繰り返し、完治できず、苦しんでいた。私自身、選手たちの現状を知りたかった」

 沖氏は2017年から順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程に在籍(2019年3月終了)。今年2月、ガールズケイリン選手の外陰部トラブルに対する予防を研究テーマに、修士論文を発表した。論文作成にあたり、ガールズケイリンの選手100人にアンケートを実施。なんと8割の選手が股ずれの問題を抱えていると答えた。

1 2 3

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集