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両親まで猛反対「お願いだからやめて」 トミー・ジョン手術を受けた女子野球選手が直面した壁「いつかは道ができる」

女子のTJ手術で感じた壁…乗り越えられたのは「信じてくれたから」

 無理もない。男子のプロ野球選手がトミー・ジョン手術に踏み切るのは、回復した後も選手生活を続けるためだ。ただ韓国では女子の野球選手がプレーできる環境が極端に小さい。いつ、どこで叶うかわからない復活のために、手術を受ける意味があるのかという考えももっともだった。前例のなかった手術を可能にしたのは、執刀医やリハビリスタッフの支えだ。

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「外国なら、自分が願う道に進むのは当たり前、いつかはその道ができるはずと夢を信じてくれたんです」。ドジャースでプレーしたリュ・ヒョンジン投手のトレーニングコーチを務めたキム・ビョンゴン博士からもサポートを受け、少しずつ負担をかけていく「ITP」と呼ばれるリハビリプログラムが始まったが、回復までは2年を要した。

 男子の野球選手は、術後1年ほどで実戦復帰するのが一般的だ。手術を経験した兄にも支えられながらリハビリを進めたが、さすがに治りが遅すぎるのは不安にもなった。

 女子野球選手がトミー・ジョン手術を受けた例自体が少なかったため、キム・ラギョンもセミナーなどで積極的に学び、情報を発信した。「ソフトボール選手が手術を受けた後の研究も見たのですが、女子の場合は靭帯が細いから治りが遅いという見方もあるようです。ただ私のトレーナーは、性別による差はない。みんな人間は一緒で、あるとすれば個人差という考え方で、私もそれを信じました」。回復した昨秋には日本のチームにプレー動画を送り、大学を卒業した今春、ライオンズレディース入団にこぎつけた。

 右肘が回復するまでの過程で、変えたことがあった。後ろ側の手を使う打法だったため、痛みを減らそうと左打者に転向したのだ。今季の登録も右投げ両打ち。何とかして野球を続けたいと切り開いてきた道は、国を越えた後輩たちへの貴重な財産になる。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)


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