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「月経は来ない方がいい」という風潮 女子選手は“女性”を捨てなければ勝てないのか

無月経の女子選手に江夏医師は問う「あなたはいつまで選手を続けたいんですか?」

江夏「無月経でも健康上のリスクを十分知りながら『私はこのまま突っ走ります』と決めているのなら、まだいいと思います。でも、一番問題なのは放置するリスクを知らずに、それがいいと信じ込まされていること。選手を引退してみたら骨がボロボロで『こんなはずじゃなかった』とかは、良くない。アスリートがお母さんに連れられて『生理が来ないんです』って受診された時、必ずする質問があります。『あなたはいつまで選手を続けたいんですか?』って。

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 もし高2や高3の人が『高校で引退します』と言えば、『最後の試合はいつ? それが終わったら、また必ず受診して!』と言うことも多いです。引退までの数か月なら月経が止まっていても大した問題ではない。でも、『世界を獲るために35歳までやるんです』と言ったら『このままでは絶対、続かない』という話をします。この状態が続くリスクと治療について話し、相談しながら最終的には自分で決めてもらいます」

伊藤「月経だけの話ではないですが、その判断ができる、できないでアスリートとして成功する、しないというところに分かれてくる気がしますね」

江夏「男性だろうか、女性だろうが、自分の人生を自分で決めるという話ですね」

伊藤「その部分に体の問題も入ってくるのは女性にとって仕方ないこと。ただ、実際にいい記録を出しているアスリートは女性でいっぱいいる。競技を突き詰めることも、運動することも悪いことじゃない。それをさせられたり、知らずにやらされたり、気づいていないというのが一番いけないことですね」

江夏「自分の体を自分で知ること、自分の体は自分で管理すること。誰かに自分の体を預けない」

伊藤「これを機に変わっていくといいですよね。誰かに管理されないことが、自分で何かを決めていく精神的な部分につながっていくと思います」

江夏「それはアスリートにとってもすごく大事な要素。そこをまずアスリートに確立してもらって、こういう女性たち、かっこいいなという空気を広めてほしいなと思います」

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伊藤 華英

 日本代表選手として2012年ロンドン五輪まで日本競泳会に貢献。2004年アテネ五輪出場確実と騒がれたが、選考会で実力を発揮できず、出場を逃す。水泳が心底好きという気持ちと、五輪にどうしても行きたいという強い気持ちで、2008年女子100m背泳ぎ日本記録を樹立し、初めて五輪代表選手となる。

 その後、メダル獲得を目標にロンドン五輪を目指すが、怪我により2009年に背泳ぎから自由形に転向。自由形の日本代表選手として、世界選手権・アジア大会での数々のメダル獲得を経て、2012年ロンドン五輪・自由形の代表選手となる。2012年10月の岐阜国体を最後に現役引退。

 引退後、ピラティスの資格取得とともに、水泳とピラティスの素晴らしさを多くの人に伝えたいと活動中。また、スポーツ界の環境保全を啓発・実践する「JOCオリンピック・ムーヴメントアンバサダー」としても活動中。

江夏 亜希子

1970年、宮崎・都城市生まれ。96年に鳥取大学卒業後、鳥取大学産婦人科に入局。鳥取大学医学部附属病院、公立八鹿病院(兵庫県)、国立米子病院(現・米子医療センター)などの勤務を経て、04年に上京。汐留第2セントラルクリニック、イーク丸の内、ウィミンズウェルネス銀座クリニックにて女性外来での診療を経験する傍ら、東京大学大学院身体教育学研究科にてスポーツ医学を学び、10年4月に東京都中央区に四季レディースクリニックを開院。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクターなど。日本エンドメトリオーシス学会、日本性感染症学会、日本臨床スポーツ医学会にも所属する。

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