競泳・大橋悠依が闘った「貧血」の体験談 今、SOSを出せない次世代のために贈る助言
選手へ「おかしいと思ったら病院に行く」、指導者へ「何が問題か見極めを」
自分では気づくことができなかった貧血。同じ症状はもちろん、何らかの不調で悩む選手が今もどこかにいるかもしれない。SOSを出せない、出す必要性にすら気づけていない選手へ、自分だから伝えられるメッセージとは。大橋は少し間を置き、過去の経験を振り返りながらアドバイスを送ってくれた。
「すぐに病院へ行くのは一つの手だと思います。そこに原因がないと最初に確かめに行くのも大切。体内に原因があれば改善していけるし、ないならはっきりと別のところに原因があるとわかる。少しでも何かおかしいと思ったら病院に行くこと。怪我もですが、長引くことが一番よくない。『痛いけど練習しなきゃ』という気持ちもわかりますが、長く現役を続けようと思うなら早く治すのがベスト。休む勇気も持った方がいいと思います」
ただ、日本のスポーツ界では若い選手が意見しづらい空気もある。休むことにおいてはなおさらだ。大橋は「それは非常にありますよね」と苦笑いで理解を示しつつ、指導者に個々の問題に応じた接し方を求めた。
「コーチも選手のことを思っているので、やっぱり心配で心配で仕方ないんでしょうけど、技術、メンタル、体、何が問題なのか、いろんな可能性を想定して見極めることが凄く大事だと思います。専門的なことになるかもしれないですが、怪我や病気の一定の知識を持っておくことも大切。(怪我や病気をして)得るものもありますが、悩む時間はないに越したことはないと思います」
選手は自分の体に興味を持ち、何か違和感があればSOSを出してみる。指導者は小さな変化に気づき、見極めること。世界のトップで戦うスイマーの転機は、不調の原因を突き止めたところにある。
(取材は2月末)
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)