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練習を頑張る女子部活生こそ要注意 年末年始くらい「罪悪感」を持たずに休んで

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第17回は「年末年始の休息」について。

「年末年始の休息」について須永美歌子先生が解説
「年末年始の休息」について須永美歌子先生が解説

連載「女性アスリートのカラダの学校」第17回―「年末年始の休息」について

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第17回は「年末年始の休息」について。

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 一部の競技を除き、年末年始は中学生、高校生、大学生のアスリートにとって、唯一しっかり休める期間だと思います。私が教鞭を執る大学の女性アスリートのなかには「絶対、お正月に太っちゃうから、今から痩せておくんです!」などと宣言する学生もいます。

 本人からすると、正月休みの間に太ってしまうことは「困ること」だと思いますが、正月が明ければプレシーズンに突入。次のシーズンに向けて、筋肉量を増やす、基礎体力を上げる時期に入り、シーズンインまで、トレーニングの負荷も練習量もグッと上がります。ですから、年に一度の完全休養期間ぐらい、ゆっくり体を休めたり、普段我慢していたものを食べたりすることは、逆に鋭気を養うためにも必要です。

 休養の取り方には、しっかり休んで体を回復させるパッシブレスト(消極的休養)と、適度に体を動かすことによって回復させるアクティブレスト(積極的休養)の2つの方法があります。どちらを選択するかは、その時々の疲れ具合によって決めれば大丈夫。判断の目安としては、「ぐったりするほど、体がすごく疲れている」と感じる日は、睡眠時間をしっかり取り、ゴロゴロしながら体を休めるパッシブレストが有効です。

 一方、精神的な疲れや「体がすっきりしない」「だるい」などと感じるときは、軽い運動やいつもとは違うスポーツをレクリエーション的に楽しむ、アクティブレストが有効です。コロナ禍なのでなかなか友達と大勢でスポーツをするのは難しいと思いますが、一人でできるウォーキングや軽いジョギング、相手と距離を置いて楽しめるバドミントンやテニス、昔懐かしい羽根つきなどもよいと思います。

「動いたら逆に疲れるのでは?」と思うかもしれませんが、軽い運動は筋肉の収縮によるポンプ作用で血流を促します。すると、血液だけでなく、酸素、栄養、ホルモンも末梢の血管まで流され、代謝が促進。結果、疲労の原因となる代謝物質が排出され、疲労回復効果が高まります。

 逆に、血液循環が悪くなると、疲労の回復が遅れてしまうことも。特に寒い時期は、体温を奪われないよう血管が収縮。手が冷たくなるのは、まさに血液が末梢まで流れていない状態です。末梢まで血液が循環すると、手のひらやほっぺが赤味を帯び、手先まで温かくなるので、その程度の軽い運動が、アクティブレストとして有効です。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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