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女性アスリートと「貧血」の関係 「生理中に起こりやすい」は思い込み?

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第10回は「貧血」について。

女性アスリートと「貧血」の関係とは?
女性アスリートと「貧血」の関係とは?

連載「女性アスリートのカラダの学校」第10回―「貧血」について

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第10回は「貧血」について。

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「最近、息切れがひどい」「めまいやたちくらみを起こす」「今までやっていた練習についていけない……」。もしも、こんな症状に悩んでいたら、「貧血」の疑いがあります。

 貧血とは、体に何らかのトラブルが発生し、血液が不足してしまい、「酸欠」になっている状態です。まずはその仕組みを、少しお話ししましょう。

 私たちの体内に流れている血液は、全身を隅々まで巡り、酸素を運んでいます。酸素の運搬を担うのは、血液成分の一つ、赤血球。赤血球に含まれる「ヘモグロビン」が酸素と結合し、各細胞に酸素を運びます。

 つまり、ヘモグロビンの濃度が高ければ、血液はたくさんの酸素を全身に供給できますが、ヘモグロビンが減ると運べる酸素が少なくなり、「酸欠」状態に。これが「貧血」です。

 貧血にはさまざまな種類がありますが、女性アスリートに多くみられるのが「鉄欠乏性貧血」です。

 鉄は全身にわずか3~4g程度しかなく、そのうち3割は体内に貯蔵され、7割がヘモグロビンに含まれています。そのわずかな鉄がさまざまな原因で不足することで、「鉄欠乏性貧血」を起こします。

 アスリートの場合、鉄欠乏性貧血で困るのは、持久力の低下です。体が酸欠状態になるため、「だるくて練習ができない」「疲れやすい」「トレーニングを続けているのに持久力が落ちている」といった症状がみられます。陸上競技の中長距離や水泳などの持久系の競技では、明らかにパフォーマンスが落ち、記録が伸びなくなるなど、試合結果や成績にわかりやすく影響が出ます。

 元々、運動中に多くの酸素を必要とするアスリートは、一般の人よりも多くの鉄が必要です。さらに女性アスリートの場合、毎月の生理の際、血液とともに鉄が流出。生来、体内の鉄が不足しやすい傾向があります。

 また、ダイエットを目的とした栄養バランスの乱れも鉄欠乏性貧血の原因の一つ。鉄を多く含む、あるいは鉄の吸収を高める食品は、牛肉、豚肉などの肉類が中心です。体重を気にする選手は「太るから」と敬遠し、パンとサラダだけ、おにぎりと味噌汁だけなど偏ったメニューを選びがちに。結果、体内の鉄不足を促進してしまう、というわけです。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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