[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

女性アスリートと「貧血」の関係 「生理中に起こりやすい」は思い込み?

女性アスリートに多い「思い込み貧血」、生理との関係は?

 さて、もう一つ女性アスリートに多いのが「思い込み貧血」です。

【特集】「タブーなしで考える女性アスリートのニューノーマル」 THE ANSWER的「国際女性ウィーク」特設サイトはこちら

 選手や学生と面談していると、「血液が出る」=「貧血になる!」というイメージから、「自分は貧血だ」と思い込んでいる選手が多いことに気づきます。そのため、「月経中は血が出るからパフォーマンスが下がるんです」とか「今、生理中だから鉄分をしっかり摂らないと」などと言います。

 しかし、これまでお話ししてきたように、貧血は「ヘモグロビン(鉄)の濃度が低下している」からなるのであって、「経血などで血液が排出され、その分、血液量が少なくなるから」ではありません。

 鉄は月経のサイクルとは関係なく、足りない人は常に不足しています。もしも、生理中に貧血の症状が出る、調子が出ないというのであれば、実は気づいていないだけで、普段から貧血の可能性があるのです。

 貧血の人は、生理中だけ鉄分を含む食事を食べても、症状は改善しません。ですから、アスリートの女性は365日、鉄分が不足しない食生活を意識して欲しい。貧血対策の食品といえば、レバーが有名ですが、赤身の魚(マグロ・カツオなど)もおすすめです。

 記事の最後に、貧血の人にみられる自覚症状をチェックリストにしました。女性アスリートに多いのは鉄結合性貧血ですが、ほかにも、男女問わずアスリートに多い「溶血性貧血」というものもあります。こちらは、オーバートレーニングや運動時の衝撃によって、赤血球が壊れてしまうことが原因。やはり持久力の低下を起こします。

 さらに、血液の成長を妨げる貧血や悪性の貧血もあります。貧血か否かを正確に知るには、病院での血液検査が必要です。当てはまる症状がいくつかあるようなら、一度、保健室の先生や医師に相談し、血液検査を受けることをおすすめします。

【CHECK!これが貧血のサイン】

当てはまる症状がいくつかあるようなら、一度、保健室の先生や医師に相談しましょう。

□いくら寝ても疲れがとれない
□めまいやたちくらみをよく起こす
□少しの運動でも息切れがひどい
□いつもだるい、眠気を感じる
□今までやっていた練習についていけなくなった
□手足がしびれる、むくむ

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


W-ANS ACADEMY

1 2

須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集