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名門バルセロナ下部監督が語る育成論「日本とスペインの子供の能力は同等」

日本の問題点「グローバルに見て、10分以上ボールに触れない練習はあり得ない」

 ジョアンは、バルセロナのカンテラ(下部組織)で、ボージャン・クルキッチ(現マインツ)やジョルディ・アルバらを育て、後に来日して東海大菅生で指導をした。

「日本の子供たちは、欧州の子供たちと比べても、持って生まれた能力に違いはない」

 裏返せば、才能豊かな日本の子供に、バルセロナの環境を与えれば、欧州のトップレベルと遜色のない選手が生まれるということになり、久保は貴重なサンプルとなった。

 では、スペインと日本の環境の違いは、どこにあるのか。ジョアンは、丁寧に解説してくれた。

「バルセロナは、欧州内でレベルの高い試合を繰り返す。飛び抜けた才能を持つ子供たちが、常に最大限に力を発揮しなければならない環境にある。ところが日本では、十分な公式戦の数が確保されていない。特に中学や高校の下級生は、出場できる試合が少ない」

「さらに日本ではトレーニングの量に凄く拘る。だがスペインに限らず、欧州で大切にしているのは、トレーニングの質だ。グローバルに見て、10分間以上もボールに触れないトレーニングは、リハビリも含めてあり得ない。量をこなせば精神力が強くなるとは思わない」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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