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ラグビー日本の4年間を「よくやった」で済ませてはいけない 「8強の壁」再突破へ検証すべきこと

4年後に向けて必要な短期的、長期的両方のビジョン

 代表首脳陣は2019年大会からFBでプレーを続けてきた山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)を8月の最終メンバー発表で外した。同じFBでフランス大会へ準備してきた松島にとっては、自身へのウェートが重くなる状況と思われたが、コメントの通り、大会直前でWTBでの起用に切り替えられたことに違和感を覚えていたことを認めている。

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 メンバー選考、人事はコーチの特権でもあり、尊重するべきだが、長らく起用してきた山中のギリギリでの選考漏れ(その後、大会途中で再招集)、そして松島の短時間でのWTBへの変更など、チーム編成上の早急な判断がチーム、選手に技術的、心理的に影響を及ぼしたのではないか。それ以外にも、選手選考に関しては国内チーム関係者から様々な声も聞こえてくる。松島の語る“謎”も、次の体制作りのための検証材料に生かせればいいのだが。

 ファンとメディアの関心は次の指導者へと向かうだろう。だが4年後、そして数大会後には実現するだろう次回の日本大会へ向けて考えれば、最初に着手する重要な課題は、日本の強化を短期的、長期的両方の視野でどうするべきかのビジョンを持ち、代表を率いるコーチの利益と、日本ラグビーの利益を明確に認識して、チームと向き合うことができる人物の人選だろう。そのビジョンは一個人の持論ではなく、JRFUという日本ラグビーを強化、普及の両面で、あるべき姿へと導く組織としてのビジョンに他ならない。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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