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「日本は前回W杯以来、最高の40分間だったが…」 両国とも指揮したエディー・ジョーンズが見た後半暗転の深層【特別観戦記】

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は17日(日本時間18日)にプールDで世界ランク14位・日本が同6位イングランドに12-34で敗れた。前半は9-13で折り返し、後半も一時1点差に詰め寄りながら、不運な形でトライを献上すると、以降は突き放された。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)であり、イングランド代表HCを昨年12月まで務めたエディー・ジョーンズ氏の特別観戦記を掲載。今大会は豪州代表のHCを務める世界的名将は、前半を「2019年W杯以来、日本がプレーした最高の40分間」と述べながら、後半に暗転した原因を鋭く指摘した。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

今大会は豪州代表のHCを務めるエディー・ジョーンズ【写真:ロイター】
今大会は豪州代表のHCを務めるエディー・ジョーンズ【写真:ロイター】

エディー・ジョーンズ氏の「THE ANSWER」特別観戦記

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は17日(日本時間18日)にプールDで世界ランク14位・日本が同6位イングランドに12-34で敗れた。前半は9-13で折り返し、後半も一時1点差に詰め寄りながら、不運な形でトライを献上すると、以降は突き放された。「THE ANSWER」では、2015年大会を率いて「ブライトンの奇跡」を演じた元日本代表ヘッドコーチ(HC)であり、イングランド代表HCを昨年12月まで務めたエディー・ジョーンズ氏の特別観戦記を掲載。今大会は豪州代表のHCを務める世界的名将は、前半を「2019年W杯以来、日本がプレーした最高の40分間」と述べながら、後半に暗転した原因を鋭く指摘した。(構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

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 ◇ ◇ ◇

 日本vsイングランドの一戦は見どころの多い、素晴らしい試合でした。昨年まで、私がこの試合の当事者になるはずだったことを考えると、不思議な気持ちもします。

 昨年11月13日、私はイングラウンド代表HCとして、日本代表をトゥイッケナム・スタジアムで迎え撃ちました。結果は52-13でイングランドの勝利。その時は正直、日本とはかなりの実力差があたったように思います。ですが、今回のイングランド戦で日本が見せてくれたのは、この1年足らずで驚くほどに成長した姿でした。

 そうしたことを踏まえながら、この試合のポイントを2つ、振り返ってみましょう。

 1つ目は、前半を4点差という僅差で終えた日本の戦い方です。日本は試合のテンポを上手にコントロールすることに成功しました。心身ともに相当ハードな試合になる中、積極的にゲインラインを押し上げて、イングランドにプレッシャーをかけ続けた。イングランドは彼らが予想していた以上に押し下げられ、戸惑っているようにも見えました。私が知る限りでは、この前半は2019年W杯以来、日本がプレーした最高の40分間だったと思います。

 前述の通り、昨年のイングランド戦からチームとして大きな改善に取り組んできた様子がうかがえました。日本がボールを支配する時間が増えていましたし、スクラムなどのセットピースやキックを使った攻撃は本当に良くなっていた。うまくラックを使いながら攻撃を仕掛けていた点にも、とても感心させられました。

 昨年の印象が強く残っているので、おそらくイングランドはスクラムで日本にプレッシャーを掛けるゲームプランを持っていたと思います。でも今回、日本が組んだスクラムはとても力強く、真っ直ぐに押すことができていた。さらに、グラウンドからの高さも低く保たれていたのも非常にいい形で、2019年大会でスコットランドに勝利した時のようでした。

 イングランドがキックを多用してくる中、日本もSH流大がキックによる攻撃を多用しました。競り合うようなハイパントはとても良かったと思います。ただ、もう少し短めの距離で、より多くの選手が競り合う場所にも蹴っていたら、どちらもキャッチしきれずにこぼれたボールを拾い上げ、そこから攻撃に繋げるというオプションも使えたかもしれません。

 いずれにせよ、前半40分の日本はW杯で初めてベスト8入りした2019年大会を想起させる場面がたくさんありました。セットピースに強く、キックで競り合う。ハイパントで勝ち取ったボールを素速く展開し、ゲインラインを突破していくことでイングランドに大きなプレッシャーを与えていました。その結果が「9-13」のスコアに表れています。

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