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なぜNZは南アに勝てたのか 名将が「あれで勝負が決まった」と称えた若きSOの神プレー

プール戦屈指の好カードは、ニュージーランド(NZ)代表オールブラックスが南アフリカ代表を23-13で下し、前人未踏の3連覇へ好スタートを切った。攻撃のオールブラックスに、固い防御が信条の南アフリカと対称的なチームカラーが織りなした熱戦で、ワールドカップ・デビュー戦だったSOリッチー・モウンガがみせた1つの防御が勝利を引き寄せた。

初戦の南アフリカ戦に勝利したオールブラックス【写真:荒川祐史】
初戦の南アフリカ戦に勝利したオールブラックス【写真:荒川祐史】

ハンセンHCが絶賛したのは後半6分のスクランブル・ディフェンス

 プール戦屈指の好カードは、ニュージーランド(NZ)代表オールブラックスが南アフリカ代表を23-13で下し、前人未踏の3連覇へ好スタートを切った。

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 攻撃のオールブラックスに、固い防御が信条の南アフリカと対称的なチームカラーが織りなした熱戦で、ワールドカップ・デビュー戦だったSOリッチー・モウンガがみせた1つの防御が勝利を引き寄せた。

 17-3で迎えた後半6分、南アフリカのトライゲッターWTBチェズリン・コルビが中央付近で防御を突破。22メートルラインを突破してフィニッシュへと最後のギアを上げた瞬間に、そのひざ下に漆黒のジャージーの10番が飛び込んできた。

「きょうはスクランブル・ディフェンスがよかった。あのリッチー(モウンガ)のタックルで、勝負が決めることができた」

 勝者の会見で、百戦錬磨の名将スティーブ・ハンセン監督も若き司令塔の渾身のタックルに賛辞を贈った。

 スクランブル・ディフェンスとは、戦術が崩れた状態の中での緊急事態に対処する防御のこと。コルビは、リオデジャネイロ五輪では7人制代表で銅メダルを獲得した快足の持ち主。オールブラックスの誰もがトライを奪われると覚悟した状況だったが、チームでは攻撃の要であり、キッカーとして期待されるモウンガの凄まじいトライセーブ・タックルが、チームに与えた勇気と闘争心は計り知れなかった。

 試合後の取材で、モウンガ自身は防御には触れなかったが「序盤は南アフリカのものすごい重圧で、ミスも多くチームは混沌状態に陥っていた。キックを使い、しっかりと立て直すことを意識していた」と息詰まる死闘を振り返った。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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