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「前回より間違いなく強くなっている」 ジェイミージャパンを最も知る男が語る根拠

日本代表主将を務めた薫田真広氏【写真:Getty Images】
日本代表主将を務めた薫田真広氏【写真:Getty Images】

薫田氏が心血を注いだ「ウェルフェア」の整備が強化を推進

 防御に関しては、薫田氏は「フィジー代表戦が全てだと思う」とワールドカップイヤーの初テストマッチとなったパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)第1戦を戦前から注目していた。長い手足を生かしたオフロードパスなどを駆使した自由奔放なアタックが持ち味のフィジー。16年11月の対戦では25-38(失トライ5)と完敗している。この世界屈指のアタッキング・チームをどこまで封じることができるかが、ワールドカップ本番での防御のバロメーターになる。

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 こんな期待の中で薫田氏も現地で観戦したフィジー戦だったが、34-21(失トライ3)の快勝に「注目していたディフェンスは、かなり評価できる内容だった。フィジーの出来は決して良くなかったが、それを差し引いても良かったと思う」と評価。相手よりも低い姿勢で下半身をとらえるタックル、そしてパワーのある相手を2人がかりで倒すダブルタックルと、薫田氏も帯同した5月の宮崎合宿で取り組んだ成果が、実戦で生かされた。

 強化委員長として最も心血を注いだのは、「ウェルフェア」と呼ばれる選手の待遇や福利についての充実だ。代表選手を強化する一方で、その選手のコンディションを保つための休息、所属チームでの活動の制限などに取り組んできた。昨季のトップリーグ(TL)開幕は8月31日。冬の季語にもなっているようにラグビーはウインター・スポーツだが、まだ残暑どころか猛暑の中で開幕したのも、シーズン終了を早めることで、ジョセフHCが求める2月の代表の活動開始までに、選手に十分なオフを与えるためだった。

「各チームにお願いして、TLの公式戦をかなり休ませてもらえました。開幕前に6週間休ませろとか、普通ではありえないような要請も飲んでもらった。主将のリーチも話していましたが、1月にラグビーをやってないなんて初めてのことでしょう。そういう部分で選手はリフレッシュできて、ワールドカップイヤーを迎えたはずです」

 選手誰もが口をそろえる宮崎でのハードワークにも関わらず、PNCのフィジー、トンガ戦では選手の動きは万全に近いように見えた。このコンディショニングの良さも、ウェルフェアの取り組みが影響している。これは、17年春シーズンの失敗が反映されている。ジョセフHCは、選手をサンウルブズから6月のテストマッチへ向けて日本代表に移行させたが、スーパーラグビーでの厳しい戦いと過酷な遠征の影響もありコンディショニングの調整に失敗。ワールドカップでの対戦も決まったアイルランド代表との試合を、疲労を引きずりながら戦わざるを得なかった。この反省を糧にジョセフHC、薫田強化委員長ら代表首脳陣は、選手の体調を管理して、整える意識を高めてきた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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