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カギを握るのは「日本人選手」 “元祖留学生”ラトゥ志南利のこだわりと理想

ラトゥ志南利氏が日本代表に思い描く理想とは【写真:吉田宏】
ラトゥ志南利氏が日本代表に思い描く理想とは【写真:吉田宏】

ラトゥ氏の理想は「日本人選手が80分間走り回るラグビー」

 日本選手にこだわるのは、ラトゥ氏が思い描く日本代表のスタイルが反映されている。理想像を再確認できたのは、エディー・ジョーンズ前日本代表HCの指導であり、求めるラグビースタイルだった。

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「エディーが代表HCになる前に、サントリーでの指導、練習を見ていて感じたものがありましたね。パワフルではなかったけれど、小さい日本人選手が走り回る。80分間疲れを知らないラグビーを見て、これはすごい、これをワールドカップに持っていけば強くなれると思いました。前回ワールドカップの南アフリカ代表戦でも、終盤に相手は足が止まっていたけれど、日本は最後まで全然止まらなかった」

 このラグビーを実現するためには、ラトゥ氏は俊敏さと持久力を持ち合わせた日本選手が必要だと考えている。7月27日に行われたフィジー戦でも、日本代表は従来よりもキックを使わずパスとランでボールを動かす戦い方で、過去3勝14敗の難敵を34-21で倒した。

「ジェイミーHCが就任してからキックを織り交ぜたスタイルにしたけれど、今は、それ以前のスタイルに戻してきている印象。いい試合をしている。日本には、ボールをまわすラグビーが合っていると思います。大事なのは走るスタミナ。日本人なら、それができる。もちろんパス、キックを、相手によって使い分けながら戦っていけばいい」

 多くの外国出身選手が日本代表のメンバーリストを埋める現状に疑問を抱きながらも、日本代表への熱い思いは現役時代と変わらない。

 ワールドカップへ向けて、代表OBとして大会アンバサダーに就任。各地でイベントやトークショーに参加して大会を盛り上げる。その一方で、母国で出場国でもあるトンガ代表からもチームのサポートを頼まれている。日本を知り尽くし、日本での高い知名度を期待されてのオファーだ。大会期間中はチームに帯同しながら、イベント参加など多忙を極めそうだ。

 トンガ代表以上に気がかりなのが日本代表の後輩たちだ。8強進出という挑戦には期待と厳しさを覗かせる。

「決勝トーナメント進出って、すごく厳しいと思う。簡単じゃない。でも、大きいのは地元というアドバンテージです。地元での応援は、間違いなく選手の力になる。そこに賭けたいなと思いますね。勝つのは簡単じゃないけれど、可能性は0じゃない。十分あります。4年前の南アフリカ戦でも、周囲は誰も勝つと信じてなかった。4年前と比べると、今回は地元の応援がある。勝たないといけないプレッシャーもあるけれど、楽しんでほしい。われわれみんなが応援しているから」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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