スポーツ・イラストレイテッド誌が指摘

　米大リーグのドジャースは今オフ、移籍市場の目玉とされた大谷翔平投手と山本由伸投手の両獲りに成功。さらにレイズのタイラー・グラスノー投手、FAとなっていたテオスカー・ヘルナンデス外野手を獲得し、マックス・マンシー内野手やジェイソン・ヘイワード外野手とも契約を延長しており、総額12億2600万ドル（約1776億円）とも言われる大補強で短縮シーズンだった2020年以来の世界一を目指している。しかし、米スポーツ月刊誌「スポーツ・イラストレイテッド」は「ドジャースがワールドシリーズを確実に断言できない8つの理由」と題して記事で不安要素を指摘している。

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　11年連続ポストシーズンに進出しているドジャース。記事では「すでに充実していたチームにショウヘイ・オオタニとヨシノブ・ヤマモトを加えても、MLBのポストシーズンで何かが保証されるわけではない」と冷静な論評を記し、「誤解はしないで。ドジャースは野球界で最高のチームである。大きな期待とともに市場にいるスターがずらりと並び、本物の有名な先発投手を毎晩マウンドに送り込むようなレアなチームである」と魅力を認めながら問題提起した。

　それが、短期決戦であるポストシーズンの難しさだ。レギュラーシーズンで一番多く勝ってもワールドシリーズで優勝する例は少ないことを挙げ、「プレーオフの形式について泣き言を言うのはやめて、新しい世界の予測不可能性を受け入れよう」と呼びかけ、課題を指摘した。

　例えば、「ポストシーズンはゲームプランニングとコーチングがより重要になる」ということ。「昨年のナ・リーグ地区シリーズは84勝のダイヤモンドバックスが、2番目に得点が高いチームである100勝のドジャースを負かした。Dバックスはドジャースを打率.177、本塁打1本に抑えた」「ドジャースの勢いを弱めるため、Dバックスの投手陣が攻撃に出た。彼らは質の高いストライクを初球に投げ込み、速球で攻めた」と“戦略負け”だったと評した。

　さらに「ドジャースはポストシーズンの試合に勝つために先発投手に頼らない」とし、過去のポストシーズン180試合で8イニングを投げた先発がいないことに言及。「今年のローテーションについて考えると、素晴らしいものがあるが、警告のフラグ三昧である。ヤマモト、ビューラー、グラスノー、そしてボビー・ミラーの通算22年シーズンで162イニングを投げたのはわずか6度だけだ」と長いイニングを投げて試合を決められる先発不在も不安視した。

　ほかにも、打線が左投手との相性に問題があること、ポストシーズンでは層の厚さがそれほど有利にならないこと、高勝率でポストシーズンのシードを得ると地区シリーズまで試合が5日間が空くこと、平均年齢が30歳を超えるチームは苦戦を強いられること、短期決戦では選手の能力差はリーグ戦に比べて反映されにくいこと。そして、ドジャースは開幕から常にワールドシリーズで優勝するかどうかで評価される重圧を持ち続けることを挙げた。

　いずれも勝利を宿命づけられたドジャースならではの課題や悩みと言える。大きな期待をもって、その名門に加わった大谷や山本はロサンゼルスに4年ぶりの世界一の歓喜をもたらすことはできるだろうか。