【世界陸上】引退覚悟で大逃げ35km競歩・松永大介 涙の失速26位「難しいから挑戦するんです!」
大逃げを打った理由「難しいからこそ挑戦したい」
後続のペースを考えると、逃げるのは難しい状況だったが、選択が間違っていたとは思わない。鼻をすすりながら「難しいから挑戦するんです!」と語気を強めて主張した。「難しいからこそ挑戦したいですし、それができてこそ速さも、強さも兼ね備えた選手になるのだと思う」。今後も2時間20分切りを目指す意志は強い。「やることは変わらないです」と貫いた。
27歳の松永は2014年の世界ジュニア選手権1万メートルを制し、16年リオ五輪は20キロで7位入賞。今回の35キロは従来の50キロから短縮された新種目だった。今大会開幕日の15日(日本時間16日)に行われた20キロでは、山西利和(愛知製鋼)が連覇、池田向希(旭化成)が銀メダルを獲得。松永は35キロを選んだ背景に、日本のメダル量産を描いていた。
「20キロは山西と池田がいる。メダルは彼らが獲れる。35キロは他の国も強いし、レベルが高い中でのレースになると思ったので、自分が35キロに回った方が選手バランス的にもよかったと思う」
今後は練習をしながらどちらの種目にするか選ぶ方針を示した。海外には両種目に取り組む選手もいるが、「だからこそ欲張らない方がいい。僕は彼らほどタフじゃないし、1週間で2レースこなせるほど力も強くない。絞って勝負に徹した方がいい」と見通しを説明した。
「多くの方に支えられてここに戻ってこられた。正直、今年の世界陸上は出られるとも思っていなかった。この経験を踏まえて残りの2年、最後の2年を有終の美で飾れるようにしっかりと準備したい。あと2年頑張ります」
日曜夜に観戦した日本のファンを楽しませたレース。強くなって戻ってくることを誓った。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)