陸上1万mで飛び抜けた廣中璃梨佳の強さ 最終400m、底力に隠された「五輪7位の経験」
7月のオレゴン世界陸上の代表選考会を兼ねた日本選手権女子1万メートルが7日、東京・国立競技場で行われた。21歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分30秒25で2連覇し、31分58秒97で3位だった24歳の五島莉乃(資生堂)とともに世界陸上代表に内定。1か月前に貧血による体調不良に陥ったが、東京五輪代表の強さを見せた。貫録すら漂わせた底力には、再び世界の猛者と戦いたいという想いが詰まっていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
オレゴン世界陸上代表権を懸けた日本選手権1万m
7月のオレゴン世界陸上の代表選考会を兼ねた日本選手権女子1万メートルが7日、東京・国立競技場で行われた。21歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分30秒25で2連覇し、31分58秒97で3位だった24歳の五島莉乃(資生堂)とともに世界陸上代表に内定。1か月前に貧血による体調不良に陥ったが、東京五輪代表の強さを見せた。貫録すら漂わせた底力には、再び世界の猛者と戦いたいという想いが詰まっていた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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一度、五輪で日の丸を背負った廣中は強かった。トレードマークのピンクの帽子を被り、号砲から先頭に出た五島にピタリ。他の様子をうかがいながら5人の先頭集団に入った。自身の代表内定条件は3位以内に入ること。距離を重ねるにつれ、一人、また一人とライバルが減っていく。7000メートル付近で給水。ペースを上げて前に出た。
ついていけたのは、5000メートルで東京五輪を経験した萩谷楓だけ。一騎打ちとなり、廣中は残り6周で帽子を放り投げた。「ここで確実に決めたい」。スパートの合図だ。場内は大きく沸く。一時は萩谷に先頭を譲ったが、ラスト400メートルで再び仕掛けた。どよめきの中、見せつけた地力の差。堂々と両手を挙げてフィニッシュした。
「確実に3位を狙いたくて、前半は余裕を持って後半に繋げたいという想いで走りました。優勝よりも確実に世界選手権を決めたいという位置づけ。ラスト2人になった時、持ち味を生かしてラスト勝負にしたいと思っていた。プレッシャーや気負いは全くなかったです。パリ五輪に向けてのステップとして、どこまで目標に近づけるかという状態でした」
飛び抜けた強さを見せた一方、1か月前は出場すら危ぶまれた。貧血による体調不良。「このレースに立てるのかと思っていました。難しい状態だった」。5000メートルを予定していた4月29日の織田記念国際を欠場。「悔しさがあった」。それでも、「世界で戦いたい」と堪えた。
「監督も『一緒に戦おう』と言ってくれた。それが心強かったです」