初V天理大、過去2度決勝との最大の差 指揮官が「今の子たちは崩れない」と語る背景
決勝前夜、2年前の敗戦が脳裏をよぎったフィフィタ「いらんことしたら負ける…」
試合前日のミーティング。指揮官は選手たちに「試合ではミスも出るし、トライも獲られる。いろんなことがあるけど、そこで(2年前と)同じようになるのか、そうじゃないのか」と自問自答させた。夜、大黒柱のフィフィタはベッドの中で2年前の決勝の記憶がふと蘇った。ラストプレーで落球。「いらんことをしたら負ける……」。敗れた明大戦を映像で見返したことはない。目を瞑ると嫌な景色が勝手に浮かんでしまった。それでも、本番で心は折れなかったことが成長だった。
「優勝するには試合に出る15人がしんどいことをしないといけない。自分がミスをしたらみんながしんどくなる。しっかりタックルをして、しっかり周りにパスをすることを意識した」
一人でがむしゃらに突っ込む姿はない。冷静に、かつダイナミックに強さを見せつけた。「そこ(ミスをした時)でも今の子たちは崩れない強さを持っていた」と指揮官。キャプテンも「1つ、2つミスもあるし、トライを獲られることもある。そこで全員が切り替えてやっていこうと思っていた。明治に対しても、早大に対しても全員が勝つマインドがあったと思います」と胸を張った。
故・平尾誠二氏を擁し、1984年度に3連覇した同志社大以来となる関西勢36大会ぶりの日本一となった。天理高OBの小松監督は留学を経て同志社大に入学。平尾氏と年齢は同じだが、3学年下の後輩として関西勢最後の優勝を経験していた。しかも、自身が4年時は決勝で早大に敗北。運命のような巡り合わせで最多16度の優勝を誇る王者を破ってみせた。
「天理は過去2回決勝に出たけど、私の中では4度目という思いは確かにありました」。
教え子の成長を実感し、“4度目の正直”を実らせた決勝だった。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)