[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

冬山では“軽いだけ”が怖い ミレー最高峰の11万円アルパインパンツ、440gに詰めた耐久性

冬のアルパインでは軽く動きたい。でも岩や氷、クランポン(アイゼン)がある環境で耐久性は削れない――。ミレー「トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツ」は3層ダイニーマを採用し、軽さと引き裂き強度、防水透湿性を両立。11万円の最高峰パンツが過酷な登攀にどう答えたのか紹介します。

10秒で分かるポイント

冬のアルパインでは、一歩でも軽く、素早く動きたい。でも岩や氷に囲まれ、クランポン(アイゼン)も使う環境ではウェアの強度も削れない――。ミレー「トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツ」は、3層ダイニーマを使って“軽さと破れにくさ”の両立を狙った最高峰アルパインパンツです。

  • ・3層の防水透湿ダイニーマを採用し、軽量性と高い引き裂き強度を両立
  • ・8分丈のサイドジッパーで、クランポン着用時の着脱とベンチレーションに対応
  • ・440g、11万円。雪と岩の垂直面を素早く動くために機動性まで突き詰めたアルパインパンツ

 アルパインクライミングでは、装備が軽いほど動きやすくなります。

 急な雪壁や岩稜を登り続けるなら、パンツの数百グラムも積み重なる負担の一つです。

 できるだけ軽くして、素早く動きたい。

 ただし、普通の登山とは違う問題があります。

 「軽くしたい。でも、岩に擦れたり、クランポン(アイゼン)を引っ掛けたりして破れたら困る」

 岩、氷、雪に囲まれたアルパイン環境では、軽量化のために生地を薄くするだけでは十分ではありません。

 防水性も必要。脚を大きく上げられる動きやすさも必要。そして生地には、厳しい環境で使える強度が求められます。

 ミレーが最高峰アルパインコレクション「TRILOGY JORASSES(トリロジー ジョラス)」で用意した一つの答えが、11万円の「トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツ」です。

 開発対象は、雪に覆われたモンブラン山塊の垂直面を登るような環境。

 そのために採用したのが、軽量でありながら高い引き裂き強度を持つ3層の防水透湿ダイニーマでした。

軽くしたい。でも岩や氷で破れたら困る…アルパイン特有の矛盾

 一般的に、ウェアを軽くしようとすれば使う素材を減らしたり、生地を薄くしたりする方法があります。

 しかしアルパインクライミングでは、その軽量化が弱点になる可能性があります。

 岩へ身体を寄せて登る。

 雪と氷の斜面でクランポンを使う。

 足元には硬い登山靴やさまざまなギアがある。

 軽さだけを追求して生地が傷みやすくなれば、過酷な環境では安心して動けません。

 「トリロジー ジョラス」が重視しているのは、軽量性、耐久性、スピード性の両立です。

 ミレーは、軽いだけでも、頑丈なだけでもなく、厳しい山岳環境を素早く動くために必要な性能を一つの装備へまとめようとしています。

アルパインで必要なのは「軽い」だけではない
 速く登るためには軽量化したい。一方、岩や氷に触れる環境では耐久性も必要です。トリロジー ジョラスは、その相反する要求を同時に満たすことを設計の中心に置いています。

TRILOGY JORASSES

そこで選んだのが「ダイニーマ」 440gでも引き裂き強度を確保

 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツでは、メイン素材に3層の防水透湿ダイニーマを採用しています。

 ミレーがこの素材に求めたのは、単純な軽量化ではありません。

 公式では、トップクラスの軽さと引き裂き強度を兼ね備えた素材として紹介されています。

 パンツ全体の重量は440g。

 それでも、雪や岩がある垂直面で使うためのプロテクションと機動性を両立させることを狙っています。

 素材は、リサイクルナイロン80%、リサイクルポリエステル7%、ダイニーマ13%で構成された3層素材。

PFCフリーの耐久撥水加工も施されています。

3層防水透湿ダイニーマ

 軽量性と高い引き裂き強度を両立するために採用された素材。防水透湿構造とすることで、雪や水分から身体を守りながら、過酷なアルパイン環境で必要な耐久性も確保しています。

丈夫でも脚が上がらなければ登れない 膝まわりは立体裁断に

 耐久性を高めたパンツでも、生地が突っ張って脚の動きを妨げればアルパインでは使いにくくなります。

 岩場では大きく脚を上げることがあります。

 急斜面では膝を深く曲げる動作も繰り返します。

 そこでトリロジー ジョラス ダイニーマ パンツでは、関節部分に立体裁断を採用しました。

 身体を直立させた状態だけに合わせるのではなく、登攀時の脚の動きを妨げない形にしています。

 最高峰の素材を使うだけではなく、実際に登る動作まで含めて機動性を考えた設計です。

「破れにくい」と「動きやすい」を両立
 強い素材で身体を守っても、脚が自由に動かなければアルパインでは意味がありません。関節部分を立体裁断することで、大きな動きを妨げにくくしています。

クランポンを履いてからパンツを脱げない…サイドジッパーは8分丈

 冬季アルパインでは、パンツの着脱にも普通の登山とは違う問題があります。

 登山靴やクランポンを装着した状態で、細い裾から脚を抜くのは簡単ではありません。

 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツは、脚の側面に8分丈のサイドジッパーを配置しています。

 大きく開けるため、クランポンを着用した状態でも着脱しやすい構造です。

 さらに、このジッパーにはもう一つ役割があります。

 上側から開くことで、ベンチレーションとしても使えます。

 寒い環境に対応する防水パンツでも、急斜面を登り続ければ身体は熱くなります。

 着脱のための開口部を、行動中の換気にも使う設計です。

8分丈サイドジッパー

 クランポンを装着したままでもパンツを着脱しやすい大開口。上部から開けばベンチレーションとしても機能し、行動中の熱を逃がすことができます。

クランポンが当たりやすい足首だけは、さらに補強

 アルパインパンツの中でも、特にダメージを受けやすいのが裾まわりです。

 硬い登山靴に触れ、クランポンの爪を引っ掛ける可能性もあります。

 そこで足首部分には、メインのダイニーマ素材に加えてコーデュラを使って補強しています。

 パンツ全体を重く頑丈にするのではなく、傷みやすい場所に強度を追加する考え方です。

 裾にはベルクロも設け、ブーツに合わせて幅を調整できます。

 細かな足さばきを必要とする登攀で、裾が余計に広がらないようにする役割もあります。

必要な場所だけ、さらに強くする
 足首はクランポンや登山靴との接触が起きやすい部分。そこだけコーデュラで補強することで、パンツ全体の軽量性を大きく犠牲にせず耐久性を高めています。

防水パンツは暑い…換気できなければ「速く動く」と相性が悪い

 アルパインでは防水・防風性能が重要です。

 しかし、身体を守るために生地を閉じれば、激しく動いたときの熱や湿気がこもりやすくなります。

 特に「トリロジー ジョラス」が追求するのは、超高所でのスピーディーな登攀です。

 速く動けば、それだけ発熱量も増えます。

 そのため、3層防水透湿素材だけに蒸れ対策を任せず、サイドジッパーそのものを換気口として使えるようにしています。

 防護性能を確保しながら、必要なときには大きく空気を入れ替える。

 ここでも「守ること」と「速く動くこと」を両方成立させる設計になっています。

TRILOGY JORASSES

もしもの遭難にも備える RECCOシステムも搭載

 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツには、RECCOシステムも搭載されています。

 これは山岳環境での捜索を補助するためのシステムです。

 軽量化や動きやすさだけでなく、過酷な雪山環境へ入るための装備として、安全面にも配慮されています。

 もちろんRECCOがあれば遭難を防げるわけではありません。

 それでも、ミレーがこのパンツを一般的な防水パンツではなく、厳しいアルパイン環境を前提に作っていることが分かる装備の一つです。

11万円のパンツに何が入っている? 機能を整理

アルパインでの課題 ミレーの答え
装備を軽くして素早く動きたい 440gの軽量設計
岩やギアとの接触で生地を傷めたくない 引き裂き強度の高い3層ダイニーマを採用
雪や水分から身体を守りたい 3層防水透湿素材+耐久撥水加工
岩場で脚を大きく動かしたい 関節部分の立体裁断
クランポンを着けたまま着脱したい 8分丈サイドジッパー
登攀中に暑くなったら換気したい サイドジッパーをベンチレーションとして使用可能
クランポンが当たりやすい裾を守りたい 足首をコーデュラで補強

トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツの主な製品情報

商品名 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツ
品番 MIV10551
価格 110,000円(税込)
重量 440g(Mサイズ)
サイズ XS/S/M/L
カラー BLACK – NOIR
素材 ダイニーマ ライト 3層[リサイクルナイロン80%/リサイクルポリエステル7%/ダイニーマ13%]
撥水 PFCフリー耐久撥水加工
主な機能 防水透湿/立体裁断/8分丈サイドジッパー/ベンチレーション/コーデュラ裾補強/RECCOシステム

アルパインの軽量化は「薄くする」だけでは成立しない

 山で速く動くためには、装備は軽い方がいい。

 だからといって、生地をただ薄くすればいいわけではありません。

 岩に擦れる。

 雪や水分を受ける。

 クランポンを使う。

 大きく脚を上げる。

 激しく動けば熱もこもる。

 アルパインクライミングでは、軽量化した瞬間に別の弱点が生まれる可能性があります。

 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツでミレーが選んだのは、「何かを削って軽くする」のではなく、軽くても強い素材を使い、必要な場所と機能を残すという方法でした。

 3層ダイニーマで軽さと引き裂き強度を両立する。

 足首だけはコーデュラで補強する。

 立体裁断で脚を動かしやすくし、8分丈ジッパーを着脱と換気の両方に使う。

 「速く動きたい。でも、過酷な山で装備の強さは犠牲にできない」

 11万円という価格も含め、一般的な登山パンツとは明らかに狙いが違います。

 雪と岩の垂直面をより速く登るために、軽さ、耐久性、防護性、機動性をどこまで同時に高められるか。

 トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツは、ミレーがその難題へ出した一つの答えです。

「トリロジー ジョラス ダイニーマ パンツ」ミレー公式商品ページ
ミレー公式「TRILOGY」特集ページ

【写真提供:ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社】

(THE ANSWER編集部)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
ABEMA
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集