実業団ランナーと「セカンドキャリア論」 異色の駅伝監督が問う“引退後”の青写真
プロ化の波に警鐘「ミスリードで休部や廃部に追い込んではいけない」
男子長距離界は受け皿が多いとはいえ、今の不透明な社会情勢では何が起こるか分からない。実際、ニューイヤー駅伝に14度出場した八千代工業陸上部は、今年度末での活動休止を決定。ラフィネグループ陸上長距離部も、この1月末での活動休止を決めた。
シューズの進化に伴いタイムが上がり、移籍もフリーになって指導者も選手もプロ化の流れにあるが、その波に乗り過ぎるとチームの寿命を縮めることになると柴田監督は警鐘を鳴らす。実業団はプロスポーツではないのだから、所属企業に寄り添って社業を習得すべきと訴える。
「うちの駅伝部もやっと職場に認知され、地域の人々から応援してもらえるようになったのだから、指導者のミスリードで休部や廃部に追い込んではいけない。学生の受け入れ先を減らすことになりますからね。陸上界に雇用を生み出し、活躍の場をなくさないためにも、企業にとっての利益と損失のバランスを考えられる指導者が必要なんです」
様々な職歴を経験した末、陸上界への貢献に心血を注ぐ柴田監督ならではの金言と言える。
(河野 正 / Tadashi Kawano)