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「不幸せな人が85%」 高校サッカー部紹介サイトを元U-16日本代表GKが作った理由

サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。自らの経験をもとに、全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する元U-16日本代表GKの姿を追った。(取材・文=加部 究)

「Foot Luck」という高校サッカー部紹介サイトを運営している中村圭吾さん【写真:Liva Co.】
「Foot Luck」という高校サッカー部紹介サイトを運営している中村圭吾さん【写真:Liva Co.】

「幸せな高校選びへの挑戦」第1回:中村圭吾氏が「Foot Luck」に込めた想い

 サッカー少年にとって、全国高校選手権は昔も今も変わらず憧れの舞台だ。多くの才能が強豪校の門を叩く一方、部活動には様々な課題も見え隠れする。その後の人生を大きく左右する「高校進学」が、幸せな選択となるために必要なことは――。自らの経験をもとに、全国の中学生年代の選手に向けて情報を発信する元U-16日本代表GKの姿を追った。(取材・文=加部 究)

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 国連が150カ国を対象に実施している幸福度ランキングで、2021年度の日本は56位だった。自殺率ではG7(先進7カ国首脳会議)でトップの世界7位を記録してしまったが、判断材料とされる健康寿命や国への信頼度などで救われた印象だ。

 では日本のサッカー少年たちの幸福度は、どうだろうか。いくら日本代表が強くなっても、それが上昇しなければサッカー文化が根づいていかない。やはりドイツやブラジルなど強豪国には、老若男女が生涯を通じてサッカーに熱狂し続ける土壌がある。

 ところが日本の多くのサッカー少年たちは、年齢を重ねるごとに表情を曇らせていく。とりわけ高校の部活に入った途端に、理想と現実のギャップに絶望していく選手が少なくない。全国高校選手権という夢舞台があるせいか、中学生たちは強豪校のユニフォームを着ることを夢見る。そこがプレーの適正環境を優先する他国との相違だが、反面大半が夢の実態を知らずに校門をくぐってしまう。そして一度入ってしまえば、3年間は抜け出すことができない。

「つまり高校進学は、一度ミスをしたら取り返しがつかない重要な人生の選択なんです。ところがこれだけ誰でも自在に情報が取れる時代に、唯一高校の部活の内情は、みんなが取れないんです」

 そう語るのは、この夏「Foot Luck」というWEBサイトの運営を始めた中村圭吾さんだ。現在26歳の中村さんは、小学2年生からサッカーを始め、山梨学院大学付属高校時代にはU-16日本代表にも選出されている。神奈川大学時代まで本格的にプレーし、最近になって東京都4部リーグで再開した。現在はコンサルティング会社の経営で収益を確保しながら、寝る間も削ってサイトの運営を主導。実際に高校の部活を経験した卒業生たちの口コミ等を、無償で紹介している。

「今まで周りの友人や知人と話してきた感触からして、高校時代を振り返り幸せじゃなかったと感じている人が85%くらいだと思います。幸せだったと思っている人は15%もいるかな? というのが正直なところで、たぶんそれは今も昔も変わっていない。結局中学生は、限られた情報だけで進路の取捨選択を迫られている。それが当たり前になっているからですよ」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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