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きっかけは5年前の“苦い記憶” 女子ラグビー元日本代表がフランス挑戦を決意した理由

チームの勝利を仲間と抱き合って喜ぶ冨田。1シーズン目からチームに溶け込んだ【写真:本人提供】
チームの勝利を仲間と抱き合って喜ぶ冨田。1シーズン目からチームに溶け込んだ【写真:本人提供】

年間試合数の多いリーグ「チーム力が試される」

 フランス国内クラブは、男女両方を保有するチームと、単独の女子クラブもあるが、その多くが男子クラブと提携することで組織内に男女のチームがあることになる。冨田がプレーするポーも、女子チームとして活動している「ロンス・ラグビー・フェミナン・ベアーン・ピレネー」が、男子のプロクラブ「ポー(正式名称:セクシオン・パロワーズ・ベアン・ピレネー)」と提携して、実質上その傘下でチームが運営されている。ジャージーも、冨田が入団した昨季から、男子と同じ深緑のものに変更されている。そのため、冨田自身もチーム名を男子チームと同じく、都市名で「ポー」と呼んでいる。

 ポーも参画する女子の国内最強リーグ「エリートワン」は、参加チーム数が昨季の14から12に変更される。縦割りの6チームずつが2組に分かれてリーグを行い、ポストシーズンのトーナメントで優勝を争う。来季のシーズンは女子W杯の影響で12月に始まり5月中旬までリーグ戦10節を戦い、その後に決勝トーナメントが行われる。2021-22年シーズンのポーは、所属する組の最下位。別組の最下位にも敗れたため下位リーグ(エリート2)との入れ替え戦に回り、辛うじて残留を決めた。

 リーグと同時にカップ戦に相当する国内トーナメントもあり、シーズン中に2つの大会を戦うことになる。また、エリートワン参入には、普及や競技人口拡大のために、クラブ内に1、2軍に相当する2チームを設け、活動することが条件になっている。

 基本的にはアマチュアのため、ポーのレギュラーチームも平日の練習に参加するのは30人程度の日が多いという。冨田は「チームで作ったワッツアップ(WhatsApp/無料チャットアプリ)には60人くらいのメンバーが登録されているんですけどね」と苦笑する。そして初体験だったフランスリーグの1シーズンをこう振り返る。

「日本よりも年間試合数が多いから、総力戦になる。層が厚くないと1シーズン通してプレーするとかなり負担は大きいですね。だからこそ、チーム力が試されるリーグだなという印象です。でも、本当に楽しかった。東京五輪を怪我で断念して、代表での挑戦からだいぶ距離を置いた感じだったのに、またこうやってラグビーをやりたいと思える自分に驚いているくらい1年間が濃厚でした」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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