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625登板→戦力外で引退 元楽天38歳、指導者のいま痛感する“妄想力”と星野仙一の偉大さ

日本におけるプロスポーツの先駆けであり、長い歴史と人気を誇るプロ野球。数億円の年俸を稼ぎ、華やかにスポットライトを浴びる選手もいる一方、現役生活を終え、次のステージで活躍する「元プロ野球選手」も多くいる。そんな彼らのセカンドキャリアに注目し、第二の人生で奮闘する球界OBにスポットライトを当てる「THE ANSWER」の連載「Restart――戦力外通告からの再出発」。第9回は楽天イーグルスで15年間プレーした青山浩二さん。

楽天イーグルスで15年間プレーした青山浩二さんの現在に迫る【写真提供:楽天野球団】
楽天イーグルスで15年間プレーした青山浩二さんの現在に迫る【写真提供:楽天野球団】

連載「Restart――戦力外通告からの再出発」第9回、青山浩二さんは楽天野球団のアカデミーコーチとして活躍中

 日本におけるプロスポーツの先駆けであり、長い歴史と人気を誇るプロ野球。数億円の年俸を稼ぎ、華やかにスポットライトを浴びる選手もいる一方、現役生活を終え、次のステージで活躍する「元プロ野球選手」も多くいる。そんな彼らのセカンドキャリアに注目し、第二の人生で奮闘する球界OBにスポットライトを当てる「THE ANSWER」の連載「Restart――戦力外通告からの再出発」。第9回は楽天イーグルスで15年間プレーした青山浩二さん。

 生え抜き投手としては球団史上1位の通算625登板を記録。星野仙一監督の下では抑えも務め、楽天イーグルスが初めて日本一に輝いた2013年も60試合に登板した。2020年限りで引退し、現在は楽天野球団のアカデミーコーチとして東北6県の子供たちに野球を教えている。「投げることが趣味」だった現役時代の知見をどのように還元しているのか、教えてもらった。(文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

 ◇ ◇ ◇

「現役中、投げることを追究しておいてよかったです。“絶対音感”じゃないですけど、子供のフォームでちょっとした違和感が分かることがある。体をバランス良く使えば将来の怪我の予防にもなるので、それを教えられるのが結構楽しいです」

 現在は東北6県を回り、アカデミーの6歳から中学3年生までを指導している青山さん。15年間に及ぶプロ生活を終え、純粋に野球を楽しむ子供たちに技術を伝えている。

 投球はもちろん、打撃や守備など基本的なことを教える。「返事や挨拶は大事にしていますが、やっぱり返事が『はい!』って素直。それに、子供はちょっと教えたらすぐに上手くなりますよね」。教え子の成長が、引退後の何よりの喜びだ。

 楽天イーグルス一筋で2020年までプレー。プロ野球人生を大きく変えたのは、2018年に亡くなった星野さんが監督を務めていた時期に、ストッパーを任されたことだ。

 打診された際、「僕じゃ無理ですよ」と一度は苦笑いで応じた。星野政権1年目の2011年には51試合に登板しているが、まだ確固たる自信がなかったからだ。即座に闘将から叱咤を受けた。

「お前、稼ぎたくないんか?」

 怒られはしたが「稼ぎたいです!」と答え、そのまま守護神を任せてもらえた。味方打者の決勝打、先発の勝ち星を消してしまうこともある重要な役割。吐きそうな思いをしながらも務め上げ、12年に22セーブを記録。翌13年も11セーブ、17ホールドと大車輪の活躍を見せ、日本シリーズは故障で出られなかったが、リーグ優勝と日本一の喜びも味わった。

「いろんな指導者の人に感情を揺さぶられましたが、僕の野球人生で一番大きかったのは抑えを経験させてもらったこと。今まで自分勝手にやっていたのが、ちょっと視野が広がった。そこを任せてもらえたのは本当に感謝しています」

 入団1年目の06年から42試合に登板するなど、先発、中継ぎ、抑えと全ての役割をこなした。積み重ねた登板数は球団の生え抜き投手では最多の625だ。

プロ野球史上43人しかいない通算600登板超えを果たしたが、実は5年目あたりから肩の痛みと戦っていた。

「痛くならないフォームで、かつ出力を下げないフォームを模索しながらやっていたんですけど、最後の2~3年は毎日(痛み止めの)薬を飲みながらやっていました」

 15年間もプレーできたのは、飽くなき探求心が一つの要因だ。「野球、投げることが趣味」と自認するほどで、休日ほかにやることと言えば多少ゲームを楽しむ程度。自宅では何気なくボールを手に持ち、考える時間が長かった。

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