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「1/2」で迷って決めた東海大 競泳五輪金メダリスト金藤理絵の岐路になった大学選択

「決める時に良いか悪いかは分からない」、正解に変えるのは“その後”の自分

 29歳で引退するまで女子選手としては長い競技人生。「自分で決めないと上手くいかないこともたくさんあった」と笑う。

 特に、10年に腰の怪我を影響でスランプに陥り、12年ロンドン五輪出場を逃した。以降は「もう辞めたい」と口にしながら、東海大から指導を受けてきた加藤コーチの説得もあり、現役を継続。しかし、気持ちは決して前向きじゃなかった。

「当時の現役を嫌々やっていた期間は結果を残さなければいけないというプレッシャーから解放され、まあまあ良い結果は残せた。でも、だからこそ『まあまあ良い』で終わってしまった。自分が『やるぞ』と気持ちを持たないと変われない。それは時間はかかったけど、実際に経験し、自分で決めないと自分の責任が生まれないということは理解できました」

 08年北京五輪直前も決断に迫られた。当時、「高速水着」で揺れていた競泳界。スピード社が開発した「レーザーレーサー」という水着で各国選手が世界記録を連発。次々と日本人選手も着用し始め、当時、デサント社の「アリーナ」を着用していた金藤さんも揺れた。

 ただ、加藤コーチから言われたのは「どっちでもいいから、自分自身で決めろ」という言葉。強制はされなかった。

「もう1か月を切るような状況。ギリギリまで悩めるけど、ギリギリまで悩んでいると自分自身が『どうしよう』という不安を常に持つことになる。できるだけ早くある程度のところで決めて、コーチからは『覚悟を持って、実際に頑張らないといけない試合に集中できる状態を作りなさい』と言われ、最後はもともと使う予定だったアリーナの水着を使いました。感覚も悪くないし、水着に左右されたくないという意地もあったと思います」

 どんな決断も「自分で責任を持つこと」、加えて「できる限り早く決めて目標に集中すること」。それが、競技をする上で大切だった。「決める時は実際に良いか悪いかなんて分からない」というが、選択を正解に変えるか、失敗に変えるかはその後の自分自身の行動にかかっている。

 インターハイが中止になったことに触れながら、金藤さんはすべての高校生への思いを明かした。

「結局は決断した後に自分がどう過ごすかで、その選択が良かったか悪かったのか分かるので。誰かが決めてしまったら後悔しか残らないし、どうしようと悩んでいる時間がもったいない。今の高校生も『あの大会がなくなった、この大会もなくなった』と考え、『どうしよう』という考えで過ごすのではなく、何かやることを決めると自ずと足は前に進んで行ってくれるので、もったいない時間を少しでも減らしてほしいと思います」

 どうしても、今はこの経験が将来の役に立つと考えることができないと思うし、それは当たり前。私自身も辛かった時、この辛さが将来の役に立つなんて思えなかった。だけど、当時の経験が今になってみると武器になっているし、実際にこうして誰かに伝えられるものになった。だからこそ、苦しい時は目の前だけでなく、ちょっと後ろを振り返ってみることも大切だし、もっと前を見てみることも大切。右も、後ろも、前も見てほしい」

 すべての決断を自分の努力で正解に変えてきた金藤さん。五輪金メダリストとなった競技人生、そのターニングポイントに「1/2」で決めた大学選択がある。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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