廃部危機を乗り越えて― 騒動から半年、再始動したトヨタ自動車が乗り越えるべき壁
NZの名将ハンセン氏も視察「まだナンバーワンチームじゃない」
そして、チームを後押しするように、名将ハンセン氏もニュージーランドから駆け付けた。コーチ、スタッフとしてオールブラックスをワールドカップ2011、2015連覇に導いた名将は、「多くのエネルギーを感じたし、さまざまなスキルも見えたが、まだナンバーワンチームじゃない。これから何をやらなければいけないか、様々なことを決めていかないといけないと思う。そして私も、日本のラグビーについて沢山学ぶ必要があります」と今後の強化への意欲をみせた。
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世界最高峰の舞台で常に勝つことをノルマとして戦い続けてきたハンセン氏の経験値が落とし込まれれば最高の追い風になる。チームにとっては、同じニュージーランドで名将とうたわれるウェイン・スミス氏が総監督として神戸製鋼の昨季トップリーグ制覇で果たした貢献を、ハンセン氏に期待したいところだろう。
開幕までの時間との戦いも強いられる中で、トップリーグ初参戦に挑む福田が、今季への意気込みを語った。
「勝つことが、いい成績を残すことが、僕らを支えてくれたファン、職場の仲間への恩返しになる。勝たないとダメですね」
汚名返上をかけたシーズンで目指すのは、昨季のトップリーグ・カップ優勝を上回る成績だ。さまざまなハードルを越えなければ辿り着けない高い目標だが、トヨタ自動車ヴェルブリッツのメンバーに不安はない。廃部の危機を乗り越えたタフさと、ピッチの上での完全復活にかける強い思いを武器に、試練のシーズンのキックオフを待つ。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)