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廃部危機を乗り越えて― 騒動から半年、再始動したトヨタ自動車が乗り越えるべき壁

選手のコカイン所持事件で6月からチームの活動を自粛してきたラグビー・トップリーグの強豪トヨタ自動車が7日、NTTドコモとの練習試合を大阪の同社南港グラウンドで行った。事件発覚前の6月8日に行われた日野戦以来182日ぶりの実戦は22-26の苦杯に終わったが、今月2日にディレクター・オブ・ラグビー就任が発表された前ニュージーランド代表監督、スティーブ・ハンセン氏も来日して見守る中でのリスタート。来年1月12日のヤマハ発動機戦(静岡・ヤマハスタジアム)で開幕するトップリーグでの再起へ向けた第一歩を踏みしめた。

視察に訪れたスティーブ・ハンセン【写真:吉田宏】
視察に訪れたスティーブ・ハンセン【写真:吉田宏】

6月から活動を自粛していたトヨタ自動車が182日ぶりに実戦

 選手のコカイン所持事件で6月からチームの活動を自粛してきたラグビー・トップリーグの強豪トヨタ自動車が7日、NTTドコモとの練習試合を大阪の同社南港グラウンドで行った。事件発覚前の6月8日に行われた日野戦以来182日ぶりの実戦は22-26の苦杯に終わったが、今月2日にディレクター・オブ・ラグビー就任が発表された前ニュージーランド代表監督、スティーブ・ハンセン氏も来日して見守る中でのリスタート。来年1月12日のヤマハ発動機戦(静岡・ヤマハスタジアム)で開幕するトップリーグでの再起へ向けた第一歩を踏みしめた。

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 大阪港湾地区にあるグラウンドには、寒気の中でも400人ほどの両チームファンが駆けつけた。トヨタ自動車にとっては、過去2シーズン、実質上のファーストジャージーとして使われたカンパニー・カラーの真紅のジャージーでの復活戦。半年に及ぶ謹慎などで先月3日からチーム練習を再開したばかりという影響は明らかだったが、選手、スタッフには穏やかな表情が並んだ。

 日本代表でもワールドカップで活躍したNO8姫野和樹主将ら主力は不参加。若手主体の布陣の中で、先発してハイテンポのボールさばきをみせたルーキーSH福田健太が再発進となった一戦をこう評価した。

「試合内容としては改善の余地のある敗戦だったと思うし、ミスボールからやられているので修正はできる。後はラグビー勘のところです。きょうチームとしてスタートのゲームができたことが大きいと思います」

 謹慎期間を経て本格的なチーム練習を再開してからわずか1か月あまり。謹慎中は選手個々に社外のジムに通い体力維持を図ってきたが、組織プレーでの準備不足は明白だった。敵陣に攻め込んでのオープン攻撃からパスをインターセプトされて奪われた2本の独走トライ、トヨタの伝統だったブレークダウンの攻防でも6度のターンオーバーを許した。

 事件が発覚したのが6月20日。トヨタ自動車は即座にチームの活動を休止して事件の推移を見守ったが、7日後の同27日には2人目の所持者も発覚した。企業のイメージを大きく貶める不祥事に社内では厳しい声も浮上する中で、チームの誰もが最悪のシナリオも思い浮かべていた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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