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ロマチェンコはどこへ行く!? 強すぎる王者の宿命、同階級のライバル不在が浮き彫りに

ガルシアとの対戦を熱望も、実現の可能性は低く…

 もっとも、ここで断っておきたいが、今回のクロラ戦の内容、結果は戦前から十分に予想できたことではあった。クロラは元WBA同級王者だが、リナレスには2連敗。ハートの強さが売りのタフガイだが、パワー、スピード、スキルに目立ったものはなく、ロマチェンコが久しぶりに支配的な強さを見せるにはおあつらえ向きの相手と思われていた。そして案の定、蓋を開けてみればほとんどミスマッチ――。

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 当初、ロマチェンコはIBF王者リチャード・カミー(ガーナ)と3団体統一戦を予定していたが、カミーが前戦で右拳を痛めて4月には間に合わなくなった。その代わりとして、WBAから義務付けられていたクロラとの指名戦がセットされたという経緯がある。タイトル保持のために指名戦が必要になるのは仕方ないが、この日まで34勝(13KO)6敗3分と平凡な成績のクロラよりも一段上の相手とのファイトが見たかったという声は盛んに出ていた。超人ロマチェンコも31歳を迎え、ピークに近い状態で戦える時間は無限ではないことを考えればなおさらだ。

 クロラへのKOパンチで右拳を痛めたとされるロマチェンコだが、大事に至らなければすぐにでも次の相手を模索するのだろう。そこで気になるのは、クロラを難なく片付けた後も、ライト級にはビッグファイトを提供できるだけのダンスパートナーが限られていることだ。

「マイキー・ガルシア(米国)と戦いたい。ただ、(実現するかは)わからない。可能な限りライト級に残り、すべての世界タイトルを統一したい」

 ロマチェンコは今戦の前後に盛んにWBC王者ガルシアの名前を挙げ、ライト級スーパーファイトの機運を煽ろうとしていた。実際に3月にウェルター級に挑戦してエロール・スペンス・ジュニア(米国)に初黒星を喫したとはいえ、ライト級に戻ったガルシアがロマチェンコと戦えば確かに予想の難しい一戦にはなる。

 しかし、一旦ウェルター級に上げたガルシアが再びライト級に下げてくることは考え難く、プロモーター、テレビ局の違いによる交渉の難しさもある。現実的にガルシア戦が実現する可能性はかなり低いはずだ。だとすれば、今後のターゲットは故障が癒えたIBF王者カミーとの3団体統一戦、あるいはガルシアが返上後のWBC王座決定戦に登場しそうなルーク・キャンベル(英国)との対戦か。

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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