創設4年目、変わるリーグワンの現在地 新システム導入で変化…今季はワンサイド減、今後はカタカナ選手増?
チームのマネジメントサイドは今季の混戦模様をどう捉えている?
BL東京自体も、ニュージーランド代表のカリスマ主将だったトッド・ブラックアダー・ヘッドコーチ(HC)が就任1年目の7位から5シーズンをかけて昨季頂点に登り詰めている。その指揮官も、浦安DR戦後の会見で今季のリーグ内の実力接近について興味深い指摘をしている。
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「(浦安は)いい選手を集め、いいスコッドを揃えてきた。相手の勝利でもおかしくはなかったと思う。自分たちが勝てたのは我慢強く、粘り強く耐えたからだろう。リーグ全体をみて、最終的にいい結果を残すチームというのは、こういう厳しい試合の中でも、どれだけ一貫性を持って毎週毎週、正しいマインドセットで、正しいゲームプランで、勝利を収めることが出来るかにかかっている。この試合へ向けた1週間を振り返ると、やはり中5日の週だったので、プレビューが十分には出来なかった部分があった。
相手があんなに蹴ってくることは考えてなかったし、あれだけアグレッシブにディフェンスしてくるとは、正直そこまで想定は出来ていなかった。逆に浦安は我々をしっかりと分析してきたと思う。今後への学びとしては、ゲーム中の修正をハーフタイムまで待つのではなく、しっかりと早い段階で、グラウンドレベルで適応していくことが求められるのかなと思います。正しいマインドセットを持って臨まないと、そして容易に勝てると思って臨んでしまうと、すごく苦しむという試合が今季は本当に増えている」
以前なら不十分な準備や、相手の分析に基づいたゲームプランが若干ズレていても、上位チームが勝ちきれるような試合が多かった。だが、開幕から未勝利の相手にも容易に勝つことは出来ないのが今季のリーグワンだ。かろうじて開幕4連勝を飾った昨季王者ですら、準備ミスや準備不足、ちょっとした勝負の綾で勝敗が左右されてしまう現実を、浦安DR戦での苦戦や次節静岡BR戦で証明している。
下位チームの躍進にスポットを当てれば、5節終了時で2勝3敗の7位につける三重H(昨季総合11位、1勝15敗)、同率8位の三菱重工相模原ダイナボアーズ(同9位、6勝10敗)らが、リーチらが指摘した理由も含めて力をつけている。三重Hの1試合平均の得失点を昨季と比較すると、得点は15.1(全節終了時)から22.8(5節終了時)、失点は46.5から29と向上している。対照的に、リーグワン発足から3季連続でトップ4入りを続けている東京SGは、現在1勝2分け2敗の10位と低迷するなど上位、下位チーム双方で変動が起きている。
ピッチの外、チームのマネジメントサイドは、今季の混戦模様をどう捉えているのか。広告代理店勤務を経て静岡聖光学院高のラグビー部監督、校長なども務めたBL東京・星野明宏プロデューサーに聞いてみた。
「実力が詰まったのは、ここまではトップ4、トップ6くらいが本気で強化に取り組んできたのが、どこのチームも本気で強化を進めてきたからでしょう。いわゆる責任会社といわれるところに、ちゃんと話をして、お金を引き出している。静岡BRのように、自分たちで稼いでいこうとしているチームもあるので非常に健全だと思う。どのチームも、親会社の負担が増えるだけだという形態から、(資金を)出すだけの価値があるチームに変わろうとしている。この1、2年の我々BL東京の活躍や埼玉WKの強さをみれば、チームにはそれだけの価値が出てきていると、私はポジティブにみています。他のチームも、この4シーズンで事業化まで至ってなくてもプロフェッショナルな感覚になってきている」
星野プロデューサーが語るように、新リーグが発足して4シーズンという時間の中で、強化だけではなく、どのチームもマネジメント部門の意識も高まっている。もちろんリーグワンの前身であるトップリーグやそれ以前から、親会社の支援に成績で応えようという姿勢はどのチームにもあったが、当時はまだ親会社の広告費や福利厚生の一環で予算が認められるチームが多かった。だが、事業化へと踏み出す中で、従来のいわゆる「企業スポーツ」時代以上に、スポンサーからの投資に対して「結果」で応え、チームの価値を明示しなければならないという意識が高まっている。
発足1、2シーズンでは上位チームと十分に戦えなかったチームも、結果を求める意識が高まったことで、勝敗もだが、試合内容でもチームに求めるハードルが高まっている。4年という時間の中で、事業力を着実に整え、強化態勢を高め、戦力面でも海外有望選手や指導者を獲得することで、自分たちへの投資価値を高めている。