世界体操で日本は何を得たのか 女子初出場18歳の健闘と、内村航平の健在の意味
内村が鉄棒の銀メダルで“審判の目”にアピールしたものとは
「長身の選手は小柄な選手よりも、演技スペースが狭くなります。結果、助走が短くなる、ラインオーバーの可能性が高くなるなどの理由から、演技の難易度を低くしたり、技を1つ減らしたりを強いられるハンデがある。デルバール選手の段違い平行棒はハンディを強みに変える演技構成が素晴らしく、また、平行棒に限らず、徹底して質の高い演技を見せた。日本の選手にとっても参考になる戦い方だったと思います」
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一方、団体戦で3位となり、一足先に東京五輪出場を決めた男子。残念ながら金メダルはゼロに終わったが、白井健三(日体大)は苦しみながらも2つのメダルを獲得した。
「今大会は男女ともに、Dスコアが低くても、演技の質と完成度の高さで得点を勝ち取る選手が目立ちました。ゆかで白井選手を抑えて優勝したアルトゥール・ダラロヤン選手(ロシア)もその一人。白井選手は連覇を逃しましたが、戦い方を学んだ大会になったのではと思います。また、萱和磨選手(順天大)が、プレッシャーのかかる大舞台を経験し、かつ個人総合、種目別で入賞したことも良かった。世界での自分の立ち位置がわかり、やるべきことが明確になったと思います」
そして、最後は鉄棒で銀メダルを決めた内村航平(リンガーハット)。右足首のケガを抱えながらも、見事な演技で大会を締めくくったことは、今後のいい流れにつながるという。
「前回大会もケガで途中棄権している内村選手に対し、審判は『大丈夫なのか?』という視線で見ていたはず。その中で、最後の着地までしっかりと決め、最高の演技を見せた。素晴らしいの一言です。メダルの色に関しては、世界の最高峰の選手が共に、完璧な構成で完璧な演技をした結果、2位だったというだけのこと。それよりも『キング・内村』は健在であると、審判、そして世界にアピールできた点が重要です」
女子は来年の世界選手権で、再び東京五輪の出場権争いに臨む。今後の村上のさらなる進化、それに続く若手の台頭を期待したい。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)