井上尚弥と戦うネリに告ぐ 日本人は絶対に忘れない、「どす黒い憎悪」が渦巻いた山中戦の国技館
ネリには一つだけ知っておいてほしい
あのマイク・タイソン以来、34年ぶりの東京ドームボクシング興行。3月の試合発表時、井上は「今回は自分対ネリ。過去の因縁は持ち込まない」と言った。会見場で山中さんと再会したネリは直接謝罪。山中さんも「良い試合を期待しています」とエールを送った。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
当人たちは水に流した。とはいえ、外野も簡単に清算できるのか。過去はもう変えられない。確かに井上には関係ないし、無用なプレッシャーを背負ってほしくない。そんなことはわかっていても、今日ばかりはあの時の感情を託しながら見守らせてはくれないか。
あの頃と変わらない髭を蓄えたネリは計量をパスし、胸を張った。だが、そもそもルールを守るのは当たり前。多額の報酬を受け取ったこの先は自由だ。ただ、ボクシングを冒涜した彼には一つだけでいいから知っておいてほしい。
日本人は、あの憎しみを忘れない。
≪ネリの復帰過程≫
2017年8月に山中慎介からWBC世界バンタム級王座を奪取した後、薬物検査で陽性反応が出た。意図的摂取ではないことから王座剥奪なとWBCの制裁はなし。再戦が命じられ、18年3月には2.3キロの大幅な体重超過で王座を剥奪された。日本ボクシングコミッション(JBC)から国内のライセンス無期限停止処分を受けた。
日本では試合ができない事実上の永久追放。しかし、海外でリング復帰し、20年9月にスーパーバンタム級で世界2階級制覇した。以降、JBCの規定改定で処分から3年が経てば資格回復の申請が可能に。今年2月、ネリと陣営はJBCに謝罪と資格回復を求める書面を提出。慎重に検討された結果、規定に基づき、処分が解除された。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)