日本代表に「ヒロセのような存在が必要だ」 W杯から再出発、世界のラグビーから読み解く今の潮流――エディー・ジョーンズ独占インタビュー
日本代表強化のヒントになるアイルランド「日本はアタックのチームであるべき」
エディー自身もイングランド代表HC時代には、常に覇権を争う存在だったアイルランドだが、ライバルのゲームスタイル、そしてラグビーの置かれた環境も注視している。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「2015年、19年のジャパンには、アイルランドのような一貫性があった。日本代表はアタックのチームじゃないといけないのです。イングランドやウェールズはキックがアタックのメーンになってしまっているから批判される。でもアイルランド代表を見ると、30回キックをしても誰も気にしていませんよね。何故なら、いい攻撃をしているからです。それが日本代表のイメージです。キックをしないといけないことがあっても、いいアタックをしているとそのキックはアタックの一部でしかない。そういうふうに持っていきたい」
競技人口、環境が南アフリカ、フランスなどに比べると十分とはいえない中で、3月6日現在で世界ランキング2位と常に世界トップクラスの力を保持し続けるアイルランドは、これからの日本代表強化にもヒントがある国として注目している。このような他国からのアイデアも吸収しながら、世界の強豪国を相手に日本がどう戦うのかというイメージも64歳のHCの頭の中で描かれようとしている。
「アタックでは、アイルランドよりも速く、賢いバージョンのチームが目指すものになる。なので、小さいスペースでも攻め込み優位に立てる戦い方をしたい。そして、攻め続ける中でスペースが作れたらそこへボールを動かしていく。防御では、赤と白の壁が相手のアタックを切り刻んでいくようなイメージです。2019年の日本代表は素晴らしいラインスピードを持ったチームでした。それを取り戻し、よりいいフォームを持ったチームを作りたい。どんなジャージー着ていてもこれは日本代表だとすぐに分かるようなラグビーをしていきたいのです。スピ―ドがあまりにも速いので、相手が怖がるようなチームですね」
そんな日本流のラグビーの総称としてエディー自身が昨年12月の就任会見で打ち出したのが「超速ラグビー」だ。第1次エディージャパンでもスピードを重視したタイルを打ち出したが、さらにスピードに拘るラグビーを目指す。「超速」はあくまで概念であり、その速さを実現するために、様々なアイデアを積み上げていくことになる。
(第3回へ続く)
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)