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次代の最強KOボクサー・中谷潤人 世界最強・井上尚弥に通ずる「期待を超える」という意識

ボクシングのトリプル世界戦が24日、東京・両国国技館で行われ、セミファイナルのWBC世界バンタム級(53.5キロ以下)1位・中谷潤人(M.T)が王者アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に6回1分12秒TKO勝ちした。日本人3人目の「全勝世界3階級制覇」を達成。次代の最強ボクサーが、転級初戦でWBCのバンタム級王座を日本に取り戻した。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ、アレハンドロ・サンティアゴを下した中谷潤人【写真:山口比佐夫】
WBC世界バンタム級タイトルマッチ、アレハンドロ・サンティアゴを下した中谷潤人【写真:山口比佐夫】

WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦

 ボクシングのトリプル世界戦が24日、東京・両国国技館で行われ、セミファイナルのWBC世界バンタム級(53.5キロ以下)1位・中谷潤人(M.T)が王者アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に6回1分12秒TKO勝ちした。日本人3人目の「全勝世界3階級制覇」を達成。次代の最強ボクサーが、転級初戦でWBCのバンタム級王座を日本に取り戻した。

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 魅せること、期待を超えることを大切にする26歳。発言に伴った試合内容を見せ、ファンを沸かせる姿は井上尚弥(大橋)に通ずるところがある。戦績は26歳の中谷が27勝(20KO)、初防衛戦の28歳・サンティアゴが28勝(14KO)4敗5分け。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ◇ ◇ ◇

 魅せるボクサーの拳が観客の胸をも打ちぬいた。

 サウスポーの中谷は静かな立ち上がり。「ガンガンくる選手なので上体が高いと効いてしまう。低くすれば対応できる」。序盤は身長の低い相手に合わせるように屈んで構えた。距離を取って相手をコントロールすると、6回から上体を高く構えるアップライトに変更。構えで変化を加え、遠距離からワンツーを突き刺した。スムーズかつ強烈な一撃でダウンを先取。会場は一気に沸騰した。

 再開後も猛ラッシュをかけ、右フックであごを揺らした。2つ目のダウン。37戦目の王者にキャリア初のKO負けを与えた。初めてのWBCベルト。幼い頃からの夢を叶えた瞬間、笑顔は少年に戻っていた。

「凄く感慨深い。ボクシングに出会えてよかった」

 WBCの世界バンタム級王座は日本人にとって特別なもの。かつてはファイティング原田、辰吉丈一郎、薬師寺保栄、長谷川穂積、山中慎介、井上尚弥ら数々の日本人ボクサーが巻いた。中谷は15歳だった2013年4月、山中氏が12回TKO勝ちしたマルコム・ツニャカオ戦を家族で生観戦。「WBCのベルトが欲しい」。米国へ単身武者修行を決意した。海外の猛者と研鑽を積むのは今でも変わらない。

「この試合に向けて、ロサンゼルスでも日本でも死ぬ想いでやってきた」

 今年の米合宿は1月4日から1か月。15歳から師事してきたルディ・エルナンデス・トレーナーに過酷なスパーリングを指示された。

 通常は1回3分、ラウンド数は長くても世界戦と同じ12回だが、自己最長16回を含む計140回以上を消化。パートナー2人を相手に5分×10回の日もあった。しかも予告なく、ラウンド中に3分ではないことを知る。全てはタフな難敵王者に対応するため。「イレギュラーなやり方に耐えて自信にもなった」。メンタルも強化。帰国後も続け、日米合計270回もの数をこなした。

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