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卓球界の不文律「11-0」回避は今や昔 “謎マナー”に違和感、木原も平野も完勝を称賛されるべき

韓国・釜山で行われている世界卓球団体戦で、日本の2選手の完封勝ちがネット上で話題になっているという。日本は女子1次リーグ第3戦で南アフリカに3-0で快勝。第1試合で木原美悠が、第2試合で平野美宇がともに第1ゲームを11-0で完封したのだ。

世界卓球に出場している平野美宇【写真:ロイター】
世界卓球に出場している平野美宇【写真:ロイター】

スポーツライター・荻島弘一氏が解説

 韓国・釜山で行われている世界卓球団体戦で、日本の2選手の完封勝ちがネット上で話題になっているという。日本は女子1次リーグ第3戦で南アフリカに3-0で快勝。第1試合で木原美悠が、第2試合で平野美宇がともに第1ゲームを11-0で完封したのだ。

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 卓球界にはかつて「10-0になったら故意に相手に1点を与える」という慣習があった。「あった」というのは、今はもう絶滅したと思っているから。中国が発祥と言われているが、その中国選手も世界の舞台で11-0を連発する。それが問題視されることもない(と思っていた)。

 スポーツにはルールにはない「暗黙のマナー」が確かに存在する。しかし、それにはそれぞれの理由がある。相手をリスペクトするためであり、ケガなどを回避するため、より公平にゲームを進めるためのものだ。サッカーで負傷者救護のために相手がボールを蹴り出してくれた場合、公正さを保つために相手にボールを返す。格闘技で実力差があり過ぎる相手と対戦した際、ケガを防ぐために攻撃の手を緩める。これらと卓球の「完封回避」はまったく違うものだ。

 子ども相手の温泉卓球ならまだしも、国を代表して戦う世界の舞台で故意にポイントを与えるのはいかがなものか。1点プレゼントされて「0点を免れた」と喜ぶ選手がいるのだろうか。逆に屈辱に感じるのではないか。相手を思いやるなら、最後まで全力を尽くすこと。それがフェアプレーだし、相手をリスペクトすることにつながる。故意の得点操作は、軽い「八百長」と言ってもいい。

 卓球だけでなく、多くのスポーツに「謎マナー」が存在する。競技力向上とスター選手の出現で人気競技になったからこそ、卓球が注目された。「11-0はマナー違反」がクローズアップされる。確かに、そういう慣習は存在していたが、今や意味がないと思っている人の方が大多数だと思う。

 木原も平野も、断じて「マナー違反」などではない。実力差がある相手とはいえ、完封ゲームを含めて完勝したことは称賛されるべきだ。全力を尽くして勝ち進むことが、パリ五輪のメダル獲得へとつながる。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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