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30年余りで花園予選1490→549校に激減 高校ラグビーへの提言、“高松北の悲劇”に今も残る忸怩たる思い

桐蔭学園(神奈川)の3大会ぶり4度目の優勝で幕を閉じた第103回全国高校ラグビー大会「花園」。強豪校のレベルアップに目を見張らされる一方で、少子化も影響して都道府県予選参加校、登録部員数も減少の一途が続く。前編では史上初の合同チームの出場に焦点を当てながら現状を紹介してきたが、後編では現場の指導者とともに、協会、高体連役員にも現状とこれからのビジョンを聞きながら、花園の未来を考える。(取材・文=吉田 宏)

花園予選出場校が減少している(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
花園予選出場校が減少している(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

合同チームに象徴される花園予選出場校の着実な減少

 桐蔭学園(神奈川)の3大会ぶり4度目の優勝で幕を閉じた第103回全国高校ラグビー大会「花園」。強豪校のレベルアップに目を見張らされる一方で、少子化も影響して都道府県予選参加校、登録部員数も減少の一途が続く。前編では史上初の合同チームの出場に焦点を当てながら現状を紹介してきたが、後編では現場の指導者とともに、協会、高体連役員にも現状とこれからのビジョンを聞きながら、花園の未来を考える。(取材・文=吉田 宏)

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 合同チームが象徴するように、花園予選の出場校は着実に減少を続けている。高体連調べの各都道府県別の予選参加校数を見ると下記のような数字になる。

▼花園予選参加校数(全国)
年度 参加校
2023  549
2022  578
2021  632
2020  641
2019  680
――――――
2013  806
―――――
1991  1490

 今年度の大会は前年度比5%ほどの減少だが、校数で見れば全国で30校が姿を消したことになる。10年前の2013年度大会と比べると参加校数は250校以上減り、ピークだった1991年度からだと900校以上が消滅して、37%に満たない校数に減っている。

 これに比例して予選参加校数が1桁だった都道府県も、コロナ禍前からの過去5年で21→22→25→29と増え続け、今季はついに30を超える31地区となっている。先に書いた合同チーム出場数も確実に増えて今年度は95。前年度からは3チーム増加に留まったが、福井合同チームの花園出場で来年度はさらに増加に加速がかかる可能性も孕む。

 ちょうど1年前のコラムで高校ラグビーの部員数、チーム数不足について書いたのだが、このような減少を止め、出場校数をV字回復させるための特効薬は残念ながらない。各地の高校指導者の努力は1年前にも紹介した通りだが、取材の中で実感したのは、この減少は末端の高校指導者や都道府県協会だけで解決、改善できる問題ではないということだ。高体連ラグビー専門部の山口優副部長は、高校ラグビーの現状をこう指摘する。

「明らかに減っていますよね。我々が高校の時はいちばん多かった。大阪では180チームが予選に参加していた(今年度は37チーム)。現状をみると、小学校のラグビースクールは増えていますが、中学校の受け皿が極端に少ない。なので、ここで別種目に行ってしまい、子供たちがラグビーから離れてしまうという現実はありますね。日本協会もクラブチームの登録の年齢を下げるなどいろいろと手を打ってくれてはいますが、難しい現実があります」

 山口副部長が指摘するような現状、そして取材を続ける中で実感するのは、部員不足、チーム数減少という問題は、日本ラグビー協会が、大袈裟にいえば国難として向き合い、手を差し伸べる段階に来ているということだ。もちろん、このような高校世代の実情については日本協会も深刻な問題と受け止めている。岩渕健輔専務理事は、昨年末の取材で、このような現状認識を語っている。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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