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「チームのため」という十字架を背負うな 世界の名ストライカーに共通、ゴール量産に必要な素養

動きすぎるストライカーにチャンスは巡ってこない

 トップレベルのストライカーは程度の差こそあれ、いずれもピッチに立つとふてぶてしい。

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 その昔、ブラジルのロマーリオは「夜遊びの何が悪い? 試合でゴールを決めているだろ?」と批判を一蹴。ライフスタイルを制限されることも嫌った。

 一方でラウール・ゴンサレスは極めて真面目だったが、自分の身体のケアのためには、どれだけチームメートを待たせても詫びを入れなかった。その代わり、ピッチで結果を出した。他にもズラタン・イブラヒモビッチは、「俺は誰にも似ていない。オンリーワンだ」という名言を残し、クリスティアーノ・ロナウドに至っては、その手の逸話は枚挙にいとまがない。

 正邪ではなく、思考回路からして違うのだ。

 ただ、ストライカーのスカウティングをする上で、1つだけ技術的に基準となる点がある。

「Desmarque」

 スペイン語で「マークを外す」という意味だが、プロで通用するストライカーは、ディフェンスとの駆け引きのところで勝っている。修練もあるが、これを感覚的にできていないと、上に上がるほど通用しない。

「ファーサイドでどれだけ仕留められるか」

 ストライカーがプロで成功する1つの指標だろう。マーカーの視界から消え、背後を取れるか。敵の逆を取ってマークを外す動きだが、1つの鉄則がある。

「動かないことを恐れるな」

 それは世界史上最高のストライカーの1人であるアルフレッド・ディ・ステファノが、ストライカーの掟として口にした言葉である。ボールを受けようと、やたら動きすぎるストライカーにチャンスは巡ってこない。むしろ、止まる動きをすることで、シュート動作のためのスペースを作り、同時に相手のマークを外すことができる。

 簡単ではない。マークにつかれていると、どうしても動いてしまう。そうしたほうが“努力しているアリバイ”にもなるからだが……。

 ストライカーは「止まる勇気」を持てるか。その一瞬で方向を変え、ボールを引き出す。現代サッカーでは、ストライカーがニアに突っ込み、GKをニアに動かし、相手ディフェンスを引き連れ、劣りになる役も求められるだけに、そのバランスも求められるのだが……。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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