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関東の強豪校は「実業団選手に近い」 中四国駅伝王者を指導、尾方剛が指摘する地方大学との差

最終目標はマラソンの「五輪メダリストを育てたい」

 地方の大学の選手には、企業から合宿参加の声はなかなかかからない。実業団の合宿参加の選手には、練習メニューをこなせるだけのレベルが求められるが、そのメニューをこなせるのは地方大学の学生ではかなり難しい。

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「企業のスカウティングのために、学生を合宿に招待したりしているので、そこでウィンウィンの関係ができている。地方の大学には、そういうレベルの選手がいないので、そういうことができず、その結果、どんどん戦力格差が広がっている。強い選手が関東に集まるシステムが完成されているんです」

 中距離で日本のトップクラスの選手を生み、長距離では出雲、全日本を走れるチームを作る。現在、尾方はそこにやりがいを感じているが、自身はマラソンランナーである。最近は箱根駅伝を走る学生がマラソンを走り、結果を出すケースが増えてきた。

「マラソンをやりたいという選手はいますけど、関東の大学の選手のようにいきなり2時間20分を切るとかは無理ですね。25分程度なら地方でもできるかなと思いますが、相当に距離を踏まないといけないですし、厳しい環境でやる覚悟がないとできないと思いますので、現状ではなかなか難しいですね」

 尾方の指導者としての野心は、駅伝ではなく、マラソンにある。

「僕の最終目標は、五輪のメダリストを作ること。僕は五輪でメダルを獲れなかったので、すごく悔いが残っている。もし、そこに挑戦できる環境があればチャレンジしたいですね」

■尾方 剛(おがた・つよし)

 1973年5月11日生まれ、広島県出身。熊野高3年時に1万メートルで当時の高校歴代3位の記録をマーク。山梨学院大2年時の箱根駅伝では10区で区間賞の走りを見せ、2度目の総合優勝に貢献した。その後は負傷などに苦しみ、中国電力入社後も低迷していたが復活。マラソンに挑戦し、2001年ベルリンマラソン4位を皮切りに国際大会で結果を残し始め、04年福岡国際マラソンで初優勝を果たす。05年世界陸上ヘルシンキ大会で銅メダル獲得。08年に念願の北京五輪出場を果たすも13位に終わった。12年の現役引退後は広島経済大陸上競技部の監督を務めるとともに、解説者としても活躍する。

(佐藤 俊 / Shun Sato)

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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