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ラグビー日本代表「W杯メンバー33人」大予想 ポジション別“勢力図”から考察するベスト布陣は?

中村亮土は繋ぎ役として貴重、中野将伍はやや苦しいか

【CTB(センター)】
[12]
中村亮土(東京SG)
長田智希(埼玉WK)
[13]
ディラン・ライリー(埼玉WK)
▲中野将伍(東京SG)

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 ここまでの分類方法では、TB(スリークォーターバックス)としてWTBと同じ範疇で論ずるのが伝統的な考え方だが、この2つのポジションは求められる役割では別々に論じるべきと判断して、まずCTBについて考えていく。

[13]については、ここまでの起用法、ポテンシャルを考えてライリーは外せないメンバーになっている。国際レベルのスピード、フィジカルを持ち合わせ、ジャパンのスタイルでもチャンスメーカー、フィニッシャーとして機能する。コーチの理想ならプール4試合すべてに先発投入したいだろうが、コンディションを踏まえると長田らにもプレーチャンスはある。

 一方の[12]は、最近の起用方法とここまでの代表戦でのパフォーマンス、トンガ戦前のジョセフHCの「今の段階では(他の選手が)まだスタンダードを作るところに達していない中で、長田はポテンシャルを見せてくれたし、テストマッチの重圧にも耐えられる可能性を見せてくれた」というコメントを踏まえると、長田の評価が上がっている。指揮官の胸中を思えば、従来この番号を背負ってきた中村と、若い長田の立場が逆転する可能性もある。だが、ここからは個人的な意見だが、前回W杯、そしてここまでの足跡を考えると中村の存在を見くびってはいけない。

 長田に押され気味な最近の試合の中でも、地味ながらチームに貢献するプレーを見せている。例えばフィジー戦の後半31分のナイカブラのトライシーンだ。快足を飛ばしてゴール前まで独走して、タックルで倒された後に自らボールを持ち直して密集を駆け抜けるようにしてインゴールに飛び込んだナイカブラにスポットが当たったが、あの一連の流れの中で、タックルを受けたナイカブラの前にスペースができていたのは、中村が相手防御選手を抱え込むように投げ倒してスペースを作り出していたからだ。

 今の日本代表の選手を見渡すと、ボールを持って走ることに長けたメンバーが多い。トライしたナイカブラ、マシレワ、FWでもファカタヴァにタタフらが、この範疇のタイプだ。だが、いや、だからこそ、このチームにはランナーにボールを供給し、攻撃をリサイクルさせる、ボールに触らずに仕事をする“繋ぎ役”=リンクプレーヤーが必要だ。そんな脇役として、自らの経験値、判断力を生かして、絶好のチャンスシーンを作り出した中村の脇役としての存在感が光る。代表首脳陣がどう評価するかは分からないが、個人的には中村は今のジャパンに必要な仲間を生かすプレーの重要さを体に染み込ませた、欠くことができない存在だ。

 もちろん、昨年首の手術を受けたベテランだ。スタッツ上でも確実に数値を残し、勢いのある長田との併用も十分にある。その反面、この2人の存在に押されるように、中野が生き残る枠が圧迫されている。ポテンシャルは他を圧倒する中野だが、プレー時間の影響もあり、ゲーム理解やスキルで物足りない面も露呈する。WTBなど他のポジションとの兼ね合いも含めて、BKに何枠が与えられるか次第で、その当落が影響することもありそうだ。

 CTBの顔ぶれが薄いが、そこはWTBシオサイア・フィフィタ、小倉、緊急的には松島幸太朗のカバーで賄うことになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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