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ラグビー日本代表「W杯メンバー33人」大予想 ポジション別“勢力図”から考察するベスト布陣は?

ラグビーワールドカップ(W杯)開幕まで1か月を切り、ファンの思いも一足早くフランスに向かっているだろう。注目の日本代表も8月5日のフィジー戦で国内試合を終えて、15日のW杯メンバー33人の発表を待つ。誰が代表入りするのか、誰が外れるのか……。こんな想像を膨らませるファンも多いだろうが、本コラムでもジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)のこれまでの選手起用、ジャパンの戦術、戦いぶりを踏まえた上で、理想のW杯戦士を考えてみた。(文=吉田 宏)

W杯8強超えに挑むラグビー日本代表。15日に33人の大会登録メンバーが発表される【写真:JRFU】
W杯8強超えに挑むラグビー日本代表。15日に33人の大会登録メンバーが発表される【写真:JRFU】

15日にラグビーW杯フランス大会に臨む日本代表メンバーが発表

 ラグビーワールドカップ(W杯)開幕まで1か月を切り、ファンの思いも一足早くフランスに向かっているだろう。注目の日本代表も8月5日のフィジー戦で国内試合を終えて、15日のW杯メンバー33人の発表を待つ。誰が代表入りするのか、誰が外れるのか……。こんな想像を膨らませるファンも多いだろうが、本コラムでもジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)のこれまでの選手起用、ジャパンの戦術、戦いぶりを踏まえた上で、理想のW杯戦士を考えてみた。(文=吉田 宏)

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 まず前提として、大会を追うごとに増えてきた登録メンバーは、2019年大会から「2枠」増して33人。8月を迎えて主要国が次々とメンバーを発表しているが、多くのチームが概ねFW(フォワード)18、19人、BK(バックス)14、15人の配分だ。この誤差は各国のラグビースタイル、手薄なポジションなども反映されている。ちなみに登録枠が31人だった前回大会の日本代表は18人がFW、BKは13人とFWが若干厚めの編成だった。

 こんな前提も踏まえながら、ポジションごとにメンバーセレクションの可能性を考えていこう。下記に名前を挙げた選手は、各ポジションの1番手が主要メンバーと考えていいが、それがベストメンバーという解釈ではない。後半にベスト選手を投入するポジションもあるため、「通常ならこのスターティングフィフティーン」だと解釈してほしい。記号のない選手がフランス行き濃厚、「△」が条件付きながら選ばれる可能性が高いメンバー。「▲」は選考されるかが難しい立場と考えている。「※」は7月発表の合宿メンバーに、代表ではなく「候補」枠で選ばれている選手だ。

【FW第1列】
[1]左PR(プロップ)
稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
クレイグ・ミラー(埼玉WK)
△シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)
[2]HO(フッカー)
坂手淳史(埼玉WK)
堀江翔太(埼玉WK)
堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)
[3]右PR
具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)
ヴァル・アサエリ愛(埼玉WK)
垣永真之介(東京SG)

 日本が武器にしたいのは高速アタックだが、その起点としてスクラムの安定が求められる。もちろん現代ラグビーでは、FW第1列だけでスクラムの優劣が決まるものではあり得ないが、それでもキーポジションであるのは間違いない。

 ルースヘッドと呼ばれる[1]の左PRには、機動力、フィールドプレーなどスクラム以外での役割も大きい。今のジャパンの中で適材なのは、やはり稲垣だろう。キックオフからジャパンの目指すFW、BK一体の機動力を生かしたラグビーをするためには、このワークレート抜群の1番が不可欠だからだ。同時に、豊富な経験値で、セットプレーなどで想定外の事態が起きても対応力の高さは計算できる。ワークレートなら稲垣、スクラムの安定感を求めるならミラーという選択肢だが、稲垣の代表キャップ48という経験値を生かした、セットプレーでの駆け引き、修正能力も先発向きだろう。序盤戦でスクラム重視という戦術を組む場合に、スタート・ベンチの順番が変わる可能性も十分にある。

[2]のHOに関しては、先発、リザーブの役割分担が選考のポイントだ。堅いタックルを中心に運動量の高い坂手をキックオフから投入して、駆け引きや、パス、キックも駆使したフィールドプレーでファタジスタぶりを見せる堀江を後半に投入というシナリオは、フランスでも鉄板と思われる。堀江の“古傷”である首への負担も踏まえて、この起用法がベースになるだろう。

[3]は、タイトヘッドPRと呼ばれるスクラムの基盤になるポジション。スクラムを組み合う強さ、安定性で具が有力だが不安材料もある。国内リーグは肩の負傷に苦しんだが、代表でもスクラムで重圧を受けるシーンもあり、活躍した2019年大会と同等のパフォーマンスが今回も発揮できるかに不透明さがある。大学時代から怪我の多い具のコンディション次第では、ヴァルのスターターという選択肢もあり得る。

 FW第1列に関しては、ジョセフHCがフィジー戦前に「フロントローのスペシャルとして9人は考えていますし9番も3人。それだけでも12人の選手が決まっている」と発言したこともあり、世界の「定番」通り各ポジション3人ずつの9人が選ばれるのが濃厚だ。

 だが、もし他のポジションをどうしても1人増やしたい場合の裏技も考えていい。各大会、ほとんどプレーチャンスがない3人目のHOと考えられる堀越の存在だ。堀越は、神奈川・桐蔭学園高時代から将来を嘱望されてきた逸材だが、当時からPRとしても評価を得ていた存在だ。このプランの難しさは、最近数シーズンの日本代表では堀越がPRでプレーする機会がないことだ。可能性は低いが、果たしてこの裏技が実現するかは、15日のお楽しみだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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