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井岡一翔、無用な騒動に掻き消されたもの 日本人屈指の魅力だからこそ「もったいない」

ボクシングのWBA世界スーパーフライ級新王者・井岡一翔(志成)が25日、世界王座返り咲きから一夜明け、都内の所属ジムで会見した。前夜は東京・大田区総合体育館で行われ、前王者ジョシュア・フランコ(米国)に3-0の判定勝ち(115-113、116-112×2)。試合前は大麻成分検出の騒動、相手の2.9キロの体重超過が物議を呼んだ。リングでは34歳の高い技術力が光っただけに、もったいないと思わせる一戦だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで判定勝ちした井岡一翔【写真:山口比佐夫】
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで判定勝ちした井岡一翔【写真:山口比佐夫】

井岡一翔が明かす“罠”、相手のパンチを「1で止めました」

 ボクシングのWBA世界スーパーフライ級新王者・井岡一翔(志成)が25日、世界王座返り咲きから一夜明け、都内の所属ジムで会見した。前夜は東京・大田区総合体育館で行われ、前王者ジョシュア・フランコ(米国)に3-0の判定勝ち(115-113、116-112×2)。試合前は大麻成分検出の騒動、相手の2.9キロの体重超過が物議を呼んだ。リングでは34歳の高い技術力が光っただけに、もったいないと思わせる一戦だった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 ただ一人、冷静なのは井岡だった。

 入場からフランコに罵声が浴びせられ、独特な空気に包まれた会場。前に出る相手に対し、井岡は細かくパンチを出しつつカウンターの左フックなどを繰り出した。常に狙う姿勢を崩さない。顎を引き、ガードを上げ、距離を潰す。打ったら動く基本を徹底。時には距離を取り、相手の勢いを冷静にいなした。互いの拳が交錯する激しい展開。パンチで相手のガードを崩し、好機と見ればたたみかけ、観客を沸かせた。

「ラウンド数は考えずに目の前の相手を叩きのめす。自分が武士とするなら、抜いた刀を振り抜かないと自分がやられる。そこまでの危機感で自分を追い詰めてやっていた。倒されても後悔がないように勝負しないといけない試合。覚悟を持って挑んだ」

 押され気味なシーンが目立った第1戦。後退する井岡は手数を出すフランコを止められないままポイントを奪われた。しかし、今回のフランコは前進が弱い。減量をしなかったことで肉体的に有利だったはず。それでも、攻めながらカウンターを狙い続ける井岡の上手さが際立った。

 そこには仕掛けられた“罠”がある。フランコはその術中にハマっていた。新王者は明かす。

「“1”で止めました。ジャブとか1つ目、2つ目のパンチに対してずっとカウンターを合わせていくと、相手は2、3、4が出なくなるんですよ。相手の1に対して僕が1のカウンターを合わせる。そうすれば、相手は1、2が出ないことが体に染みつくんです。だから1が出ないと、2、3に続かない。僕がフェイントをかけても、1、2しか出ないんですよ。

 相手の1に対して、僕は当たっても当たらなくてもずっとカウンターをハメ込んでいっていた。それがハマっていくと、中盤は向こうも1を打ったら僕に来られると思う。でも、警戒心が体に染みついているので、前進ができなかった。前進させないように僕が体で押したり、プレスをかけたりしなくても僕の圧をかける。これは技術の細かい話です」

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