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U20日本代表の秘密兵器に? 英名門大に通う19歳、母の祖国で追うプロラグビー選手になる夢

海外にルーツを持つ原石が今後日本代表で輝く可能性も

 南半球最強リーグ「スーパーラグビー」でブルズ(南アフリカ)を2度の優勝に導き、2016年からS東京ベイを率いるフラン・ルディケHCにも、ハリーの可能性を聞いてみた。

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「彼がチームに参加したのは3回目だが、ポテンシャルがあり、ボールキャリーも強い。ベーシックなものもきちんとできているし、ラインアウトもいいという印象を持っています。我々としては、大学の勉強はオンラインで行い、日本に来た方がいいとも思うが、とてもしっかりした選手なので、しっかり勉強を終えてからという話ももらっています」

 もしハリーが日本でのプレーを選んだ場合は、日本人の母を持つことで、リーグワンでの扱いは一般的な日本人選手と同等のカテゴリーA選手として、制約なく公式戦でプレーできる。精査は必要なものの、代表でも3親等以内の家族が日本人という条件をクリアしているために有資格者と考えていい。

 ハリー以外にも、日本では代表でFB(フルバック)、WTBとして活躍する松島幸太朗(東京SG)、入団2シーズン目の静岡ブルーレヴズで主力メンバー入りするFLジョーンズリチャード剛ら、日本と海外にルーツを持つ選手の活躍は少なくはない。本コラムで昨年紹介した7人制女子日本代表の大竹風美子もそうだが、日本選手としてのプレー資格を持ちながら、身体的に様々な高いポテンシャルを持ち合わせている選手は、これから日本のラグビー、スポーツで増えていくのは間違いない。国際結婚が増えていく限り、その拡大は急速に広がっていくはずだ。

 中でもハリーのように、世界のどこかで、高いポテンシャルを持ちながら人知れずプレーしている原石が隠されているだろう。“エースで4番”のような優れた選手1人では勝てないという特色もあるラグビーでは、なおさらそのような存在が埋没している可能性がある。海外から大挙して来日する外国人選手の争奪戦の様相を見せる国内ラグビーだが、社会人、大学でも出場規約で、いわゆる外国人選手のプレー(人数)は制約されているという現実を踏まえても、ハリーのような選手をチームが発掘する作業も重要になるだろう。そして、その発掘された原石のいくつかが、日本代表として輝く可能性は十分にある。

「大学卒業後、フルタイムのラグビープロになりたい。スピアーズでの経験も大好きで、将来も彼らとできるだけ多くのラグビーをプレーしたい」

 そう語るハリーは現在、所用で一時帰国しているが、5月後半には再来日を予定している。もちろん、同22日から合宿が予定されているU20日本代表も見据えての判断だ。

 そんなハリーの選択と挑戦は、日本ラグビーの新たな可能性も秘めている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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