U20日本代表の秘密兵器に? 英名門大に通う19歳、母の祖国で追うプロラグビー選手になる夢
ラグビー・リーグワンで昨季に続きプレーオフに進出し、初の決勝進出を果たしたクボタスピアーズ船橋・東京ベイに、異色の大学生が練習生として参加している。19歳のハリー・ウィラードは、英国人の父と日本人の母の間に生まれ、英国の名門ダラム大に通いながら二足の草鞋で母親の母国でラグビーにも打ち込んでいる。正式に選出はされていないが、6月の世界大会に挑むU20(20歳以下)日本代表でもその可能性が注目されている。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、米国人の父と日本人の母を持つラーズ・ヌートバーが注目を浴びたが、ハリーはどんな未来を思い描いて日英での挑戦を選んだのか。ラグビー版ヌートバーの可能性や課題をハリー本人、そして関係者に聞いた。(取材・文=吉田 宏)
異色の19歳大学生ハリー・ウィラード、S東京ベイの練習生として参加
ラグビー・リーグワンで昨季に続きプレーオフに進出し、初の決勝進出を果たしたクボタスピアーズ船橋・東京ベイに、異色の大学生が練習生として参加している。19歳のハリー・ウィラードは、英国人の父と日本人の母の間に生まれ、英国の名門ダラム大に通いながら二足の草鞋で母親の母国でラグビーにも打ち込んでいる。正式に選出はされていないが、6月の世界大会に挑むU20(20歳以下)日本代表でもその可能性が注目されている。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、米国人の父と日本人の母を持つラーズ・ヌートバーが注目を浴びたが、ハリーはどんな未来を思い描いて日英での挑戦を選んだのか。ラグビー版ヌートバーの可能性や課題をハリー本人、そして関係者に聞いた。(取材・文=吉田 宏)
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未来への保証は何もない。
結論をぼやかすような言い回しだが、輝けば光る可能性を秘めた19歳。それがハリー・ウィラードの「いま」だろう。
「スピアーズには去年の夏から参加しています。それからイングランドに戻ってクリスマスにまた来日。そしてイースターのオフなので、また来ています」
本人から初めて話を聞いたのは、4月19日のTID(Talent IDentification=人材発掘・育成)合宿の時だった。この合宿は、日本ラグビー協会による育成世代の選手のための強化プログラムの総称だが、今回は実質上6、7月に南アフリカで開催される20歳以下代表のワールドカップ「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」に挑む日本代表の強化が目的だ。この時点で正式にはメンバー入りしていないハリーだが、運にも恵まれて、いわばオープン参加でチームに混じり汗を流した。
ハリーは2003年11月、英国北部のリーズで英国人の父と日本人の母の間に、3人兄弟の末っ子として生まれた。ラグビーでは、ヨークシャーの15歳、16歳以下州代表で主将を務め、イングランドのユース代表では北部地域の合宿にも参加。今はダラム大で学業の傍らラグビー部でFL(フランカー)としてプレーを続けている。日本での“身分”はS東京ベイの練習生。本人は日英での生活を楽しんでいるが、日本での挑戦が実現したのはコーチ間のネットワークで、ハリーを知る指導者からスピアーズのコーチへの「日本のエリジビリティ(居住規約)をクリアする選手がいる」という紹介からだ。
ハリー本人は「お母さんは大阪出身なので、何度も行っています。彼女もラグビーが大好きなので、日本でのいい機会、経験を持てると思って来ました。日本語を学ぶチャンスでもあるので」と、ラグビーと同時に第2の母国での様々な経験を得ることも選択肢だったと語っている。