岩井姉妹を幼少期から指導してきた永井哲二コーチが証言

　14日まで行われた女子ゴルフの国内ツアー・RKB×三井松島レディス（福岡CC和白C）は、岩井千怜（Honda）のツアー3勝目で幕を閉じた。双子の姉・岩井明愛（Honda）、昨季の年間女王・山下美夢有（加賀電子）とのプレーオフ（PO）2ホール目では、パー5の2打目で姉妹そろって“直ドラ”を選択。果敢に挑戦する姿にギャラリー、視聴者は興奮。2人を幼少から指導してきた永井哲二コーチも「誇らしいです」と目を細めた。（取材・文＝柳田通斉）

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　ツアー史上初の姉妹によるプレーオフ。2人が名シーンを演じていた頃、永井さんは練習場のリンクスゴルフクラブ（埼玉・毛呂山町）でインストラクターの仕事をしていた。

「LINEでどんどん情報が入ってくるので、私もレッスン教室のお客さんも“心ここにあらず”でした。そして、2人がそろって直ドラをしたと聞いて、『えっ』となっていました」

　永井さんはその後、TBS地上波で放送された試合の録画中継を視聴し、あらためて姉妹に驚かされたという。

「あきちゃん（明愛）はここ（リンクスゴルフクラブ）やコースで、遊び感覚でよく直ドラを練習していましたし、ステップ・アップ・ツアーでも披露しています。正規の18番でも直ドラを選択したように、ああいう場面でイケイケになるのもあきちゃんらしい。でも、ちーちゃん（千怜）が直ドラを練習した姿は見たことはありません。それを『私も』と、ぶっつけ本番でやって、あきちゃんよりも距離を稼いだ。もともと、メンタルが強いタイプですがビックリでした」

　千怜はアマ時代まで、明愛ほどは距離が出ず、慎重に組み立てるプレースタイルだった。だが、明愛がステップ・アップ・ツアーで初優勝を飾った際、最終ホールで池からのウォーターショットを披露したことなどに刺激を受け、「私も明愛の挑戦する姿を見習いたい」と公言。永井さんは「その流れもある」と言いつつ、「お父さん（雄士さん）の教えが大きいです」と指摘した。

「お父さんは2人のスコアがまとまっていても、『今日のゴルフは全然、面白くなかった。もっと、お客さんを楽しませなきゃ』と言いますから。ただ、勝つためにプレーするのではなく、『プロなら楽しませなさい』という考え方です」

　緊迫した場面で、それをやり遂げた岩井姉妹。永井さんは「直ドラの打ち方は教えていませんけど」と笑って明かしたが、「一緒に築いてきたスイングでボールを捉えていたことがうれしかったですし、誇らしかったです」と実感を込めた。