那須川天心は若者に伝えたい 誹謗中傷もある生きづらい時代「先生の教えが全てじゃないんだ」
ボクシングに転向した那須川天心(帝拳)が8日、東京・有明アリーナで日本バンタム級2位・与那覇勇気(真正)とのスーパーバンタム級ノンタイトル6回戦に臨み、3-0の判定勝ち(59-54、60-53×2)でボクシングデビューを飾った。キックボクシング界で“神童”と呼ばれた24歳。常に新しいことに挑戦し、自ら期待を求める型破りな男には、若者たちに伝えたいマインドがある。生きづらい時代、悩む人へ「僕をきっかけにしてほしい」と投げかけた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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ボクシングに転向した那須川天心(帝拳)が8日、東京・有明アリーナで日本バンタム級2位・与那覇勇気(真正)とのスーパーバンタム級ノンタイトル6回戦に臨み、3-0の判定勝ち(59-54、60-53×2)でボクシングデビューを飾った。キックボクシング界で“神童”と呼ばれた24歳。常に新しいことに挑戦し、自ら期待を求める型破りな男には、若者たちに伝えたいマインドがある。生きづらい時代、悩む人へ「僕をきっかけにしてほしい」と投げかけた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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もっと視線を、もっと熱を。集まったのは1万2500人。主役はリングで踊るように大観衆を刺激した。
入場曲はキック時代と同じ矢沢永吉の「止まらないHa~Ha」。客席は明らかに若返り、女性や家族連れも目立った。曲に合わせ、「Ha~Ha!」と歌うファンも。試合は那須川の終始優勢。2回、右フックでダウンを先取すると、拳を天に突き上げた。4回にはカウンターの左を入れ、ぐらついたところですかさず猛ラッシュ。ジャッジ2人がフルマークの完勝だった。
リングを降りたお祭り男は、バンテージを客席へ放り投げ。両腕を上げながら花道を踊るように歩き、最後は振り返って深々と一礼した。
「やっぱりお客さんがいての格闘技。沸かせるじゃないけれど、そういうマインドも持ちながら試合ができた。これが限界じゃないんで。まだしっかりとボクシングを始めて半年。ここから進化して、ボクシングでも必ず世界を獲ろうと思っています!」
格闘技戦績は47戦全勝(キックボクシングは42戦)。なぜ、最強の肩書きを手放し、リスクしかない新競技への挑戦を決めたのか。「単純に強くなりたい。どの競技にも対応して、極められるようにしたい」。デビューが決まって以降、「僕の本気度が伝われば」と繰り返した。のし上がっていく中で見てほしい姿がある。
「人の心を変えていきたい。勝ち負けは格闘技に付きものだけど、勝ち負け以上に自分をどこまで表現できるか。どれだけ生き様を人に見せるか。僕の人生、挑戦を続けたい。ずっとチャンピオンでいるのも好きではないし、そういう人生にしたくない。その姿をみんなに見てもらう。
格闘技以外でもいいので、若い子にはいろんなことに挑戦してほしい。でも、口で言うのは簡単。だから行動で示す。まずは自分がそれを体現したい」
すでに抜群の知名度を持つ異色の新人ボクサー。プロモーション活動にも積極的に動き、注目と期待を可能な限り引き上げた。「やるべきことはわかっている」。本質は勝って強さを見せること。ただ、ボクサーになるのは簡単ではなかった。