日本の育成環境では「成長スピードが減速」 U20ラグビーHC、学校単位の現状に持論
今後のカギを握るリーグワンの存在
アーリーエントリーは、リーグワンのチームに入る新人選手が、大学公式戦終了後に前倒しでリーグワン公式戦に出場できる制度だが、望月の視点はさらに広範囲のユース選手の経験値を上げていくことに注がれている。先の中山CROも、このような社会人チームと大学生の交流が“青田買い”になってしまう恐れも危惧しながらも、リーグワンという高いレベルの環境が、ユース世代の強化育成との関係性を従来以上に深めることには大きな可能性を認めている。
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忘れてはいけないのは、このカテゴリーの充実は代表指導者に放り投げるようなものではないということだ。代表HCの最優先事項は指揮するチームで結果を残すことであり、数年後に代表入りする若手育成ではない。責任感を持つべきは、ラグビー協会であり、国内ラグビー、特にユース世代の選手を抱えるチーム、関係者だ。
日本が追いつこうとしているヨーロッパ、南半球は確実に一歩、また一歩と育成を進めている。足踏みをしている時間はない。協会(日本代表)、リーグワン、大学チームという3極が、従来以上に知恵を絞り、コミュニケーションを高めながら連携していくことで、ミッシングリンクを完全な強化の環にするしかない。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)