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日本の育成環境では「成長スピードが減速」 U20ラグビーHC、学校単位の現状に持論

ペニーHCが指摘する年齢で分けることの弊害

 では、日本ではどうだろう。

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 高卒で東芝ブレイブルーパス東京入りしたLO(ロック)ワーナー・ディアンズは19歳で代表デビューを果たし、SO(スタンドオフ)李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)は帝京大を中退後、21歳で初キャップを獲得した。彼らのように大学生世代でも代表入りを果たす選手は出てきたが、9割以上の選手は大学卒業後、社会人チーム入りしてリーグワンなどでの活躍を評価されて代表候補に入ってくる。個人差はあるが、早くても社会人で2、3シーズン経験を積んで桜のジャージーを目指すのが既定路線だ。

 このような海外との格差を、今季からU20日本代表を率いるロブ・ペニー・へッドコーチ(HC)に聞いてみた。2014年から長らくNTTコミュニケーションズシャイニングアークス(現・浦安D-Rocks)でも指揮を執ったペニーHCは、母国NZでもU20代表を率いて世界大会を戦い、過去にもU20日本代表のスポットコーチを務めるなど国内外でユース世代の強化にも携わってきた。日本の国内事情も熟知する指揮官は、日本と海外強豪国とのユースの違いをこう指摘する。

「日本の強化の構造だと、選手をどうしても年齢で分けてしまう。大学チームの選手数を確保するなどの利点もあるが、特定の選手に関しては成長スピードが減速してしまう。他の国ならユース世代からすぐにスーパーラグビーレベルでプレーできるし、イングランド、フランスでもU20代表から直接プロの環境に行く。今のところ、そこが大きなギャップになっていると思います」

 世界に目を転じると、2、3月にヨーロッパで熱戦を展開した6か国対抗では、各国U20代表も毎週試合が組まれている。南半球でも各国代表級の選手で編成されるスーパーラグビーパシフィック(SR)で、各チームがユース代表世代のアカデミーチームを編成してゲームを展開する。サモア、フィジーら南太平洋諸国も、大会方式を変えながらもパシフィックチャレンジなどのオセアニアをベースとした国際大会を繰り広げている。

 その一方で、日本では高校、U20と代表強化を続け、今回のアイルランド遠征のような成果を残しながらも、高い経験値を得られるのは代表に選ばれた一握りの選手が、限られた試合を経験するだけにとどまる。海外強豪国のように、複数の同レベルのチームと毎年戦う大会は準備されていない。そして、ペニーHCが「減速」と指摘する国内事情も深刻だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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