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揺れる高校ラグビーの土台 予選参加“3チーム以下”が7県、深刻な出場校&部員数の減少

合同チームの花園参加だけでは解決しない

 倉吉東同様に部員集めに腐心しながら、新たな制度も活用して部員数確保に奔走する高木監督だが、今後の新たな可能性にも期待を寄せる。

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「合同チームの花園参加が、早ければ来シーズンから実現しそうです。例えば香川県の場合、極論すると4校が15人揃いません。なので、4校合同でという考え方はあると思います。そうなっても花園には出られることで、生徒にしたらやり甲斐があると思うんです」

 合同チームとは、1校で15人に満たない学校同士が1つのチームを編成して大会に出場する方式だ。すでにラグビーでは地方予選には参加しているのだが、合同チームの場合は花園出場権がない。県予選での優勝は過去にはないが、勝てても花園には出場できないのが現状だ。

 だが、全国高等学校体育連盟(高体連)は昨年12月22日に、ラグビーをはじめ9競技について、次年度から合同チームの全国高校総体(インターハイ)出場を認める方向で検討していることを明らかにした。少子化による部員減少と、高校生に部活の成果を披露できる機会を広げようと顧慮したもので、高木監督が語るようにこの動きが加速していけば、部員数、参加校数に悩む都道府県にとっては、選手たちに花園出場の可能性を広げる朗報になる。

 しかし、忘れてはいけないのは、この合同チームが果たすのは、「いま」試合ができるかできないかという境遇の選手たちへの急務の策という役割に過ぎないということだ。部員数や単独チームでの参加校の増加に、直接繋がる制度ではない。

 山形南は、山形中央と2校だけの県予選を勝って夢舞台を掴んだ。1回戦では、同じ東北の岩手・黒沢尻北に0-45とスコアできずに敗退したが、阿部貴洋監督は県下有数の進学校で、ラグビーと勉強の両立に苦闘してきた選手たちを労った。

「今年は3年生が13人いましたが、9人が部に残ってくれた。その中で4人は進路が決まったが、5人は共通テストが目前なので、宿でもミーティングを終わった後に広間に残って勉強しています。バスの移動でも12時間くらいずっと勉強していましたね」

 例年なら3年生になると、全員が受験準備のために部活を辞める山形南で、9人の部員が部活を続け、5年ぶりの花園出場を果たしたのだ。同監督が3年生の選択を、こう説明する。

「去年、一昨年は、3年生はほぼ全員残らなかった。コロナの影響で大会自体どうなるか分からなかったことも影響しました。でも、去年の3年生の中で1人だけ部活を続けた子がいたんです。その姿を目の当たりにして、今の3年生が今年こそ絶対に勝つという気持ちを持ったのが大きかったと思います」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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