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揺れる高校ラグビーの土台 予選参加“3チーム以下”が7県、深刻な出場校&部員数の減少

減少し続けている高校年代の競技人口

「県内では、1チームで1学年8人選手を増やしましょうという話はしています。それができれば、2学年で16人なので試合ができる。なので、とにかく、なんとか8人。その8人をどう集めるかというところですけど、こうやって花園を目指すのは当然ですが、やはりラグビーの魅力を伝えるだとか、放課後の2時間、3時間をどう過ごすかという部分で、僕ら指導者も含めて関係者が価値のある空間にしないと選手は集まってこないと思います。選択肢が多様な時代ですし、価値観も多様な時代ですから。その2、3時間で人間関係を充実させるような仕掛けをしていくことが重要だと思います。ラグビーだけじゃなくスポーツ人口自体が減ってくるので、そういう意味でのロールモデルじゃないですけど、そういうふうに繋いでいくんだというのが発信できればいいと思います」

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 岩野監督の言葉は現場の生の声として、傾聴するべき意見だろう。今回の倉吉東のケースは、一見すると鳥取県で起きた異常事態のように受け止められるかもしれない。だが、実は全国各地で同じような状況が起きている。それが1試合も戦わずに出場を決めるという極端な形で現れたことで、鳥取が大きく取り上げられたに過ぎない。

 問題の要因は3点ある。まずは、恒常的に予選の出場校が少ない地域が増えていること。ここに直近でのコロナ感染と、中長期的には少子化が響いている。

 全国高校ラグビー大会は、大阪府など複数校が出場する地域を含めて47都道府県から毎年51チームが出場する。そのなかで、今季大会の地方予選(都道府県大会)の参加校が3チーム以内だったのは7県。複数校で編成された合同チームを除く参加が8校に満たなかったのは、前出の7県を含めて25の地域で、都道府県ごとで見れば半数を超えている。

 背景には、高校年代の競技人口減少に歯止めがかからない現実がある。今年度の花園予選に出場したチームは全都道府県で578校だったが、昨年の631校から確実に減少している。コロナ感染などの影響はあるが、感染拡大前の2019年大会は688校が出場し、10年前の2012年度は801校が参加していることを考えれば、コロナだけではない落ち込みと言わざるを得ない。

 47自治体別の予選参加チーム数を21年度と22年度で比較しても、増加したのはわずか3県、増減なしが16県で、28都道府県が減少している。鳥取での県予選が1試合も組めなかったということも踏まえて、部員確保、増加の特効薬はないと考えていいだろう。コロナ感染が事態を悪化させているが、高校ラグビーの中長期的な競技人口問題は、かなり深刻だと改めて痛感させられる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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