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揺れる高校ラグビーの土台 予選参加“3チーム以下”が7県、深刻な出場校&部員数の減少

綱渡りだった部員集め、演劇部からの転部選手も…

 花園という舞台で60分間、15人でプレーできたことが何よりだったが、リザーブメンバーなしで戦うことは相当困難なことだ。岩野監督は「もともと少人数なので、1人が複数ポジションをできるようにやってきました。しかも(感染は)4人同時になったわけでもないので、メンバーが少なくなっていくなかで、どんどん(メンバー、ポジションを)変えていきました。不慣れなポジションでやっている子が半数以上でした。本当に綱渡りでした」と、ピッチ外でも苦闘を強いられた挑戦を振り返った。部員には、この試合がラグビーの実戦デビュー戦だった選手、演劇部からの転部選手もいた。

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 今回はなんとか15人以上を揃えて花園での実戦まで漕ぎ着けた倉吉東だが、1年間の活動は苦難の連続だった。

 中国大会ブロック予選などは、米子工、倉吉総合産と合同チームで出場。合同チームの全国大会「コベルコカップ」も、もちろん混成チームで臨み、選手個々のレベルアップを図った。ようやく単独チームで試合ができるようになったのは花園予選前。本大会へ向けては、花園出場を決めていた近隣の島根・石見智翠館、香川・高松北に練習試合を組んでもらい、夢の舞台にやってきた。

 試合が終わったばかりのタイミングだったが、岩野監督に倉吉東での部員確保の現状を聞いてみた。

「鳥取自体が人口がすごく少ないところです。中学の部活(ラグビー部)がなくて、ウチのチームではラグビースクール経験者は3人です。新入生を部員たちが勧誘しています。どこの高校でも選手集めは大変だと思いますが、友達同士の関係で集めてきています。それが広がっていければいいと思います」

 鳥取県予選で出場を断念した2チームについても、戦わずして花園を断念せざるを得なかったのは無念だっただろうが、花園出場を果たした倉吉東にとっても歓迎できる出来事ではない。今季に限っても、中長期的に見ても、他校との真剣勝負の試合、練習が県内で組めないことは、同じ地域で競い合い、ともに強化を進めていくためには深刻な問題だ。もちろん県内のラグビー関係者も、競技人口増加、試合を成立させようと工夫や新たな取り組みにも挑戦している。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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